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*【かたりしップしゅういちょう】くまがいさん(さんけいしんぶん)*

【語誌ップ拾遺帳】熊谷さん(産経新聞

2日(土)17時2分



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 大阪おおさか府知事ふちじせん橋下はししたてつ圧勝あっしょうとなった。タレント知事ちじ先輩せんぱいかくでもある東国とうごくはら英夫ひでお宮崎みやざき県知事けんちじは、90ぱーせんと超すこす驚異きょういてき支持しじりつ維持いじしているといわれ、宮崎みやざきけん庁舎ちょうしゃ県内けんないがいからの観光かんこうきゃくでにぎわっている。大阪おおさか庁舎ちょうしゃも「行列ぎょうれつができる役所やくしょ」となるのかどうか、はしのお手並みてなみ注目ちゅうもくだ。

 ところで今回こんかい選挙せんきょでは、はしせいを「橋本はしのもと」と書いかいたり、熊谷くまがやていとしせい仮名かめいで「くまがや」と書いかいたりしたひょうが、随分ずいぶん多くおおくあったのではないかと想像そうぞうしている。

 「熊谷くまがや」の読み方よみかたは、ご自身じしんのホームページでも「くまがい」と書いかいている。ところが、これを「くまがや」と読むよむひと多くおおく実際じっさいにわが編集へんしゅうきょくにも、ずっと「くまがやさん」と言いいい続けつづけてきた記者きしゃがいる。首都しゅとけんでの生活せいかつ経験けいけんしたひとならもしかすると、「くまがや」と読むよむこともあるのではなかろうか。埼玉さきたまけん熊谷くまがやは「くまがや」と読まよまれるからである。

 その熊谷くまがや根城ねじろにした武将ぶしょうであり、浄瑠璃じょうるりいちたに軍記ぐんき(いちのたにふたばぐんき)」のさんだん熊谷くまがや陣屋じんや(くまがいじんや)」でもよく知らしられる熊谷くまがや直実なおみは、「くまがい・なおざね」と読むよむ広辞苑こうじえんの「熊谷くまがや」のうなじには、「くまがい」は「くまがや」の旧称きゅうしょうであることが示さしめされており、熊谷くまがやという地名ちめいももとは、熊谷くまがや一族いちぞくめい通りとおり「くまがい」と称ししょうしていたものかと思わおもわれる。それがいつしか、「たに」を「や」と読むよむようになった。

 首都しゅとけんには熊谷くまがやのほかにも「たに」を「や」と読むよむ地名ちめい多くおおく深谷ふかだに埼玉さきたま)、渋谷しぶたに四谷よつや世田谷せたがや入谷いりや千駄ケ谷センダガヤ阿佐ケ谷アサガヤ(いずれも東京とうきょう)など枚挙まいきょにいとまがない。地名ちめい詳しいくわしい丹羽にわもといさんによると、「たに」を「や」と読むよむのは関東せきひがし多いおおいらしく、比企ひきたに鎌倉かまくら)などのように「やつ」と読むよむ地名ちめい随所ずいしょにみられる。

 一方いっぽう、「たに」を「たに」と読むよむのは西日本にしにっぽん多いおおい大阪おおさかではうなぎ(うなぎ)たに細工谷さいくだに桃谷ももだに京都みやこでは大谷おおたに鹿しか(しし)ケたに、また神戸じんごでも「いちたに軍記ぐんき」の一ノ谷イチノタニ名谷みょうだになど、どれも「たに(だに)」と発音はつおんする。西日本にしにっぽんで「や」と読むよむ地名ちめいといえばわたくしには、徳島とくしまけんにある秘境ひきょう祖谷いや(いや)を思いつくおもいつくぐらいのものだ。

 時代物じだいもの最高さいこう傑作けっさくといわれる「熊谷くまがや陣屋じんや」では、直実なおみ平敦盛たいらのあつもり(あつもり)を討っうったと見せかけみせかけて、実はじつはわが子わがこ小次郎こじろう身代わりみがわりにした。武士もののふである恨んうらんだことであろう直実なおみは、みなもと義経よしつねいとま(いとま)をこうて俗世ぞくせい別れわかれ告げるつげる

 直実なおみ出家しゅっけしたが、大阪おおさか熊谷くまがやていとしさんにはぜひこれからも、「大阪おおさか再生さいせい」のために活躍かつやくしていただきたいと、切にせつに思うおもうのである。(校閲こうえつ部長ぶちょう せいくちびん
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