【パリ=山口昌子】フランスのサルコジ大統領は1日夕、北大西洋条約機構(NATO)のデホープスヘッフェル事務総長と就任以来、初めて会談し、4月初旬のルーマニアの首都ブカレストでのNATO首脳会議で、フランスが1966年に脱退した軍事機構への完全復帰を正式に表明する意思を伝えた。
エリゼ宮(仏大統領府)によると、初会談の主要議題は「首脳会議の準備」。換言すればフランスの復帰問題だ。大統領は会談に先立ち、モラン国防相をワシントンに派遣。国防相は1月31日にゲーツ国防長官、ライス国務長官と会談し、NATO復帰問題などを協議したとみられる。
大統領は1月にも「欧州安保とNATO復帰は同じ安保政策だ」と強調。4月の首脳会議では「実際的で野心的な提案を行う」と言明した。3月末に発表される国防白書の作業部会が提案した「欧州安保と大西洋関係強化」についても承認するなど、復帰に向けての意思を明確にしてきた。
シラク前大統領も就任した95年に復帰を探ったが、「南部司令官はフランス人で」とのシラク氏の復帰条件を米国が拒否して実現しなかった。しかし、同年には軍事委員会に、また2004年には国防相会議に復帰するなど部分復帰を果たした。
フランスが完全復帰の決意を固めた背景としては、コソボ紛争で欧州共通外交・安保が成果を上げず、特に「5万人規模の欧州軍の緊急部隊の創設が掛け声だけに終わった」(国防関係筋)ことが大きい。
フランスが完全復帰する場合、脱退の理由であった「独自核」は手放さずに「保持する」(関係筋)という。仏軍のみならず欧州軍やNATO軍として、抑止力としてのフランスの独自核が必要だからだ。米国も冷戦終了約20年を経て、特に独自核に反対する理由がない。
大統領としては、完全復帰したうえで今年後半からの欧州連合(EU)議長国として欧州安保での主導権を目指すほか、来年のNATO創立60周年式典にも主要加盟国として出席したいところだ。