税収格差が問題化するなど地方自治体の運営が厳しさを増す中、外資系銀行が売り込む最長30年もの自治体向け超長期融資が注目されている。昨年12月に日本に本格進出した仏・ベルギー系のデクシア・クレディ・ローカル銀行(東京都千代田区)の新型ローンは、約1年間に貸出先を24自治体に広げ、融資総額は3100億円を突破した。メガバンクや地銀と競合しない巧みなビジネスモデルで、新たな需要を開拓している。
日本は財政が借金漬けという事情もあり、自治体向け融資や、地方債市場は約200兆円と世界最大規模。しかし小泉政権時代の構造改革などにより、政府系金融機関を通じて自治体に融資する政府資金枠は最近5年間で半減してしまった。邦銀の融資期間は10年程度にとどまり、自治体は長期に資金を借りることが難しくなっている。
デクシアはこうした変化に目を付けて日本に進出した。すでに山形県、大阪市、京都市などへ50億〜100億円規模の大型融資を相次いで実施。融資期間は20〜30年で、自治体にとっては金利変動が少ない安定した資金調達が可能になった。
最近はより小さな地方都市にも融資先を拡大している。宮崎市に30億円、神奈川県相模原市に16億円など規模は縮小しても、融資期間はやはり20年と長い。
デクシアはフランスの公的金融が前身で、2006年末の総資産は90兆円。ダブルAの格付けを背景に低コストで資金調達し、世界各国で自治体向け融資や地方債への投資を展開している。
日本ではわずか4人の営業担当者が全国を行脚して売り込んでいる。すでに都道府県や市の財政状況を分析し、独自のノウハウで“格付け”を作成済み。財政破綻(はたん)や政治情勢、災害などのリスクも勘案し、最適な融資プランを提案している。
多くの取引で国内金融機関と提携しているのも特徴だ。邦銀が当初10年まで加わり、その後10年間はデクシアが単独で貸し出しを継続する新しい協調融資も開発した。
総務省出身で地方自治行政の経験も豊富な前葉泰幸デクシア東京支店副支店長は「われわれはハゲタカではない。カメのようにじっくりと日本に浸透したい」と強調。将来はこの市場でシェア10%を目標としているが、長期資金を融通する生保会社などと新たな競争が生まれる可能性もある。