【ベオグラード澤田克己】セルビア大統領選の決選投票を3日に控え、極右民族派候補が勝利した場合、同国からの分離独立を求めるコソボ自治州が直後に一方的な独立宣言に踏み切るとの観測が強まっている。穏健派の現職再選でも2月中の独立宣言が確実視されており、コソボ情勢は一気に重要局面へ突入しそうだ。
決選投票は、第1回投票(1月20日)で得票率40%だった極右民族派・セルビア急進党のニコリッチ氏と、同35.4%だった現職で親欧州派・民主党のタディッチ氏の争い。直前の世論調査でも、両者の支持率がほぼ横並びという激しい選挙戦になっている。
争点は、コソボ独立と欧州連合(EU)加盟だ。セルビアはEU加盟を希望しているが、同時に、コソボ独立をEUが積極的に後押ししていることへの反発も強い。
両候補とも「コソボ独立反対」と「EU加盟促進」の公約を掲げているが、外交筋は「二つの公約が両立することはありえない」と指摘する。実際には、タディッチ氏は「EU加盟」、ニコリッチ氏は「独立反対」をそれぞれ優先させる姿勢。タディッチ陣営は選挙を「EU加盟の是非を問う住民投票」と位置付けキャンペーンを展開している。
一方、欧州のニュース専門局ユーロ・ニュースによると、コソボ自治政府のサチ首相は1日、州都プリシュティナで西側外交団に「セルビア大統領選の結果とは関係なく数日中に独立を宣言する」と語った。
コソボ情勢に通じたEU外交筋は毎日新聞の取材に対し「タディッチ氏再選ならコソボ側もEUとの調整に多少の時間をかけるだろうが、ニコリッチ氏勝利なら選挙翌日に独立を宣言しても不思議ではない」と指摘。「コソボはもう何年も独立を待ってきた。これ以上は待てないだろう」と述べ、独立宣言が3月までずれ込むことはないとの見通しを示した。
◇コソボ自治州 人口約200万人。セルビア南部に位置するが、セルビア正教を信仰するセルビア人はわずか1割。9割を占めるイスラム教徒のアルバニア系住民は、セルビアからの分離・独立を求めている。セルビア側はコソボを中世セルビア王国発祥の地と位置付け、独立に強く反対している。