【ワシントン斉藤信宏】米マイクロソフトがインターネット検索大手ヤフーに買収を提案した背景には、ネット検索最大手グーグルの急成長に対するマイクロソフトの強い危機感がある。
グーグルは他企業との提携を経営戦略の柱に据え、IT(情報技術)業界で一段と存在感を増している。ネット業界ではヤフーなど他社を寄せつけず、独り勝ちに近い状態が続いていた。
一方、マイクロソフトはネット事業を新たな収益源と位置づけているが、技術やサービスの開発で出遅れ、なかなか軌道に乗らないのが現実だ。マイクロソフトとヤフーが統合することで、ネット関連事業の売上高はグーグルと肩を並べることになり、マイクロソフトにとってはグーグルを追い上げる態勢が整うことになる。
両社は昨年も経営統合の交渉が報じられたが、企業文化の違いなどからヤフー側が人材流出を恐れ、合意に至らなかった。その後も合併以外の提携方法として、マイクロソフトがネット事業をヤフーに統合した上でヤフーに出資する案などが取りざたされていた。
ヤフーのネット事業は、ニュースの提供や電子メールなどで世界最大規模の利用者数を誇るが、収益力の低さが問題になっていた。
ヤフーは、07年6月に創業者のジェリー・ヤン氏が最高経営責任者(CEO)に就任。不採算事業から撤退するなどリストラを進め、経営の立て直しに取り組んできた。しかし、07年10〜12月期決算でもネット広告事業が振るわず、8四半期連続の減益となり、全従業員の7%に当たる1000人の人員削減を発表。株価も下落傾向が続き、市場関係者からも戦略の転換を求める声が上がっていた。