【ワシントン斉藤信宏】米大統領選の指名候補争いは、予備選などが集中する今月5日の「スーパーチューズデー」を前に一段と熱を帯びてきた。年明け以降、急速に景気後退の懸念が強まったため、各候補は景気対策など経済問題を中心に論戦を展開している。
民主党ではヒラリー・クリントン上院議員(60)とバラク・オバマ上院議員(46)が独自の経済活性化策を公表し、激しい応酬を続けている。
「経済通」を自任するクリントン氏の強みは、ルービン元財務長官など経験豊かな相談相手に支えられている点だ。クリントン氏は「富裕層優遇の政治を変える」と主張。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題で住宅保有者の差し押さえ回避策を提示するなど具体的な対策を示すと同時に、補助金交付など民主党の伝統的な財政出動を訴えている。
一方、オバマ氏は「米政府が十分な景気対策を取ってこなかった」とブッシュ政権の経済政策を批判。勤労者と年金受給者への一律250ドル給付を公表した。ブッシュ政権が打ち出した1000億ドルの所得税還付に近いが、雇用環境の悪化が続けば同額を再支給することを盛り込んだ点で「より雇用を重視した」と強調している。
また、31日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、米連邦準備制度理事会(FRB)のポール・ボルカー元議長がオバマ氏の支持を表明した。
民主党の候補は当初、医療保険改革を経済政策の柱にしていたが、サブプライムローン問題の深刻化を受け、景気対策優先に方針転換している。
給付金の交付など財政出動中心の民主党候補に対し、共和党候補は減税策中心の景気対策を主張。ジョン・マケイン上院議員(71)は税還付などを柱とするブッシュ政権の景気対策を支持。ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(60)は自らの経営者としての経験を強調。マイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(52)は連邦所得税を廃止し、すべて消費税でまかなうという大胆な税制改革を訴える。
ウォールストリート・ジャーナルなどの世論調査によると、最も重視する政策に「雇用創出と経済成長」を挙げた回答は46%を占め、昨年末までほぼ同率だった「イラク戦争」の36%などを大きく引き離した。