インサイダー取引疑惑が持たれているNHK報道局の制作記者(33)が、スクープ記事の出稿を知らせるアナウンスが局内に流れた直後、問題の株を買い付けていたことが分かった。証券取引等監視委員会の調べに否認を続けていたが「アナウンスに反応した。軽率だった」と容疑を認める供述を始めた模様だ。証券監視委は既に認めていた2人を加えた計3人に、総額約40万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告するものとみられる。
局内アナウンスを悪用した手口が判明したのは初めて。完成原稿が専用端末に登録(汎用化)された直後、出稿された事実や出稿部、タイトルを知らせるもので、NHK放送センター(東京都渋谷区)2階にある「ニュースセンター」のスピーカーから流れ、センター内にいれば誰でも耳にすることができる。システムは今も変更されておらず、改善を迫られそうだ。
関係者によると、問題のアナウンスがあったのは、汎用化から約1分後の昨年3月8日午後2時39分ごろ。外食大手のゼンショーが回転ずしチェーンのカッパ・クリエイトをグループ化するとの内容で、制作記者は直後に携帯電話でカッパ株1000株を買い付けた。「『(ゼンショーが)カッパ社を買ったという原稿が出た』とアナウンスが流れて反応してしまった。今考えれば軽率だった」と供述しているという。
残る2人は職員番号とパスワードを端末に入力し、汎用化後の原稿を見て株を買ったが、制作記者は今も「原稿を見ていない」と話している。しかし、証券監視委はアナウンスによる情報入手も証券取引法違反(インサイダー取引)容疑に当たるとみており、3人の課徴金は数万〜約20万円になるものとみられる。【堀文彦】
NHK広報部の話 制作記者の情報入手方法や認否は調査中でコメントできない。