78年に殺害された東京都足立区立小学校教諭、石川千佳子さん(当時29歳)の弟2人が、時効成立後に自首した元警備員の男(71)に約1億8600万円の賠償を求めた訴訟で、東京高裁は31日、330万円の賠償を命じた1審判決を変更し4255万円の支払いを命じた。青柳馨裁判長は、賠償請求権が消滅する民法の除斥期間(不法行為から20年)を適用せず、1審を覆して殺害に対する賠償を認めた。
判決は「被害者の死亡を知ることができない相続人は権利行使が不可能なのに、加害者が20年経過により賠償義務を免れるのでは、著しく正義・公平の理念に反する」と指摘。元警備員が遺体を隠したため、相続人の確定が殺害から20年経過後になったという「特段の事情」があり、賠償請求権は消滅していないと判断した。
元警備員には殺害時から起算した遅延損害金も課されるため、実際の支払額は1億円を超えるという。
判決によると、元警備員は78年8月、同じ小学校に勤めていた石川さんを校内で絞殺、遺体を自宅床下に埋めた。04年8月に自首したが、公訴時効(当時は15年)の成立で不起訴になった。
1審・東京地裁は06年9月、除斥期間の経過を理由に殺害に関する賠償請求を棄却。元警備員が遺体を隠し続けた行為についてのみ、遺族が故人を弔う機会を奪ったと慰謝料支払いを命じた。
【北村和巳】