再生紙偽装問題で日本製紙連合会と製紙大手5社は31日、環境保全活動の支援に10億円を拠出すると発表したが、具体的な使途も決まっておらず、拙速の感は否めない。環境省や市民団体からは「実態や原因の究明が先」との声も上がっており、信頼回復の決め手にはなりそうもない。
31日の記者会見で製紙連は、支援対象となる各社の取り組みとして(1)パルプ原料に間伐材利用を促進(2)古紙回収に取り組む消費者団体への補助(3)環境負荷の低い古紙パルプの研究開発−−などを例示した。
再生紙問題でユーザー側に与えた影響について、製紙連の鈴木正一郎会長は「市場の混乱は認識している」と改めて陳謝した。半面、「(自社の)業績には極端な影響はない」(篠田和久・王子製紙社長)という状況もあり、切迫感の乏しさを指摘する声もある。
環境省は、政府に紙製品を直接納入していた業者に森林保全などの取り組みを求めたが、それらの業者に製品を出荷していた製紙会社の責任を問う声は根強い。今回の資金拠出についても、同省の笠井俊彦・環境経済課長は「埋め合わせとは受け取れない。金さえ出せば信頼回復できると思っているのか」と突き放す。古紙問題市民行動ネットワークの中村正子代表も「実態や原因を明らかにするのが先。中途半端な社会貢献では意味がない」と指摘している。【小島昇】