金融庁は、信用金庫や信用組合といった協同組織型金融機関の抜本的な制度見直しに着手する。信金・信組は地域への金融サービスに重点を置く代わりに税制の優遇を受けているが、銀行並みの業務拡大を目指す信金・信組には優遇措置を廃止して銀行への転換を促す。従来以上の地域密着サービスに取り組む場合には優遇を続ける方向で、3月に開く金融審議会(首相の諮問機関)で議論を始める。ただ、業界には慎重意見も多く、議論の行方は流動的だ。
銀行が株式会社なのに対して、信金・信組は会員、組合員から出資を受ける非営利法人。営業区域が定められ、融資先も中小企業に限られている。地域経済を支える役割を担うことから、法人税は22%と一般企業や銀行の30%に比べ軽減されている。
ただ、上位の信金・信組は、預金量で地方銀行や第二地銀に勝るケースも多く、「規模は銀行並みなのに、すべての信金・信組の税制が優遇されているのは筋が通らない」との指摘が出ている。また「地域に必要な融資が行われず、非営利の趣旨が失われている」との批判もある。
このため金融審で、信金・信組を「銀行型」「地域密着型」に分け、法人税率に差をつけることが検討される見通しだ。銀行型には優遇廃止で銀行転換を促し、地域密着型には優遇を維持し、これまでお金を借りられなかった中小・零細企業やNPO(非営利組織)への融資を促す。家計再建策と組み合わせた多重債務者への低利融資など、地域金融機関が本来期待されている業務への進出も課題となる。税制優遇の存廃は規模の比較ではなく、経営方針により個別に判断する案が出ている。
また、信金・信組は出資の額にかかわらず議決権は「1人1票」とされるなど「株式会社に比べ企業統治が弱い」との指摘もあり、企業統治の強化も検討課題になりそうだ。【清水憲司】
【ことば】信用金庫・信用組合 「非営利」「相互扶助」を基本とする協同組織型の金融機関。全国に信金は282、信組は164ある。業態別の預金量シェア(06年度)は信金17.8%、信組2.6%(都銀と地方銀行はともに39.8%)。信組は組合員以外の預金が制限されている。信金が融資できるのは資本金9億円以下の企業だが、信組は3億円以下。