中国人グループが日本から中国に違法に送金する「地下銀行」を全国規模で営んでいたとして、警視庁などの合同捜査本部に銀行法違反(無許可営業)容疑で摘発された事件で、犯行グループは鉄くずのほかに、衣類や自動車関連など幅広い貿易を悪用し、不正送金を繰り返していたことが29日、合同捜査本部の調べで分かった。関与していた金属輸出業者など国内94社は、すべて中国・福建省在住の男が選んでいたことも判明。日中間で貿易実績のある企業を中国側で探し、不正送金を持ちかけていた可能性もある。
調べでは、犯行グループは日本に滞在する中国人から送金を請け負って、預かった金を日本の貿易会社に送金。貿易会社と中国側業者の正規の取引の中に紛れ込ませる形で、不正に送金していた。
犯行グループは、北京五輪を控え、需要が多く取引が活発な鉄くずの輸出を悪用していたが、衣類や自動車関連、お茶などの輸出も不正送金に悪用していた。
日本側で送金に関与していた94社を選定したのは、福建省在住の犯行グループの中で中国語で「老板(ラオパン)」と呼ばれる男。「老板」は密航斡旋(あつせん)組織「蛇頭」の一員で、平成14年ごろ日本に入国し、地下銀行のシステムを構築したうえで、昨年2月に帰国している。
犯行グループのうち、昨年11月に神戸港から中国に出国した男(31)は、出国時に偽造パスポートを使用しており、「老板」が用意したとみられる。合同捜査本部は密航を専門にしてきた蛇頭が、地下銀行にも組織的に関与し、資金源にしていた疑いがあるとみて調べている。