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*「いちばんデキるひと」にあんじゅうしない――るーごへんかん・とみたなおきさんの“まなびりょく”(ITmediaBiz.ID)*

「一番デキる人」に安住しない――ルー語変換・冨田尚樹さんの“学び力”(ITmedia Biz.ID

30日(水)15時51分



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ひとりで作るつくるネットサービス:

画像がぞう

 「ひとりで作るつくるネットサービス」だい21かいは、テレビや雑誌ざっしでもおなじみの「ルー変換へんかん」を作っつくっ冨田とみた尚樹なおきさん(29)にお話おはなし聞いきいた。ふとした思いつきおもいつきから作っつくったサービスがさまざまなメディアで取り上げとりあげられ、自らみずからもテレビに登場とうじょうするまでに至るいたるまでには、どういった工夫くふうがあったのだろうか。

初めはじめ恐る恐るおそるおそる知れしれ知るしるほどハマッた

 「付いついたらまわりで自分じぶん一番いちばんデキるひとになっていたんです。辞めやめなくちゃな、と思いおもいました」。北海道ほっかいどうから東京とうきょうてきて1ねんたった、24さいのころだった。自分じぶんはエンジニアになりたい、もっとすごいひとがいるところで勉強べんきょうしたい──そう強くつよく願っねがっ冨田とみたさんは、つぎなるステージを目指しめざし転職てんしょく決意けついする。

 ときは23さいまでいた北海道ほっかいどう時代じだいにさかのぼる。冨田とみたさんは最初さいしょからエンジニアを目指しめざしていたわけではない。高校こうこうのときにバイトしてソニーの「VAIOPCG-505」を購入こうにゅうしたのは、DTM(デスクトップミュージック)に興味きょうみがあったからだ。かといって音楽おんがく本格ほんかくてき入れはいれ込んこんでいたわけでもない。インターネットも始めはじめてみたが、なんとなくWebサイトをたりメールをしたり、といった使い方つかいかたしかしていなかった。

 「北海道ほっかいどうはコールセンター需要じゅよう大きかっおおきかったんです。デスクワークのじゅうではわりと時給じきゅうもいいんですよ」。当時とうじしょく探しさがしていた冨田とみたさんは、ある携帯けいたい電話でんわ通信つうしん事業じぎょうしゃのコールセンターで働くはたらくことにした。担当たんとう技術ぎじゅつサポート。顧客こきゃくからの「データカードがつながらないのですが……」といった質問しつもん答えこたえていく仕事しごとだ。

 最初さいしょはまったく技術ぎじゅつ専門せんもん知識ちしきがなかった冨田とみたさん。顧客こきゃくからの電話でんわでも分からわからない単語たんご次々つぎつぎてくる。「TCP/IPって初めてはじめて聞きききましたね……あとWindows以外いがいにMacintoshっていうものがあることも、そのとき知りしりました」。とはいえさすがに仕事しごとなので「分かりわかりません」とは言えいえない。懸命けんめい勉強べんきょうしつつなんとか対応たいおうした。

 そのうち知らしらない単語たんごやよくある対応たいおう盛り込んもりこんだ、自分じぶんようのマニュアル作りつくりにとりかかる。サポート業務ぎょうむ通じつうじ、インターネットに興味きょうみ持ちもち始めはじめていた冨田とみたさんは、早速さっそくHTMLで作るつくることにした。顧客こきゃくからの電話でんわ速くはやく答えこたえられれば、そのぶん自分じぶん自由じゆう時間じかん増えるふえるはず──そう思っおもっ進めすすめていくうち、技術ぎじゅつ面白おもしろさにハマッた。動的どうてきなページではなかったが、気づくきづくとJavaScriptも駆使くしし、検索けんさくのような機能きのう付けるつけるまでになっていた。

 自分じぶんよう作っつくったマニュアルだったが、ふとしたきっかけでコールセンターのセンターちょうにとまる。「これ、すごく便利べんりじゃないか」。この一声ひとこえでほかのひと使うつかうようになった。評判ひょうばん評判ひょうばん呼びよび冨田とみたさんのシステムはなんと全国ぜんこくのコールセンターで使わつかわれるようになる。

 「全国ぜんこく使わつかわれるようになると、さすがにデータりょう膨大ぼうだいになります。静的せいてきなHTMLだけではどうしようもなかったので、IISじょう拡張かくちょう機能きのうASP(ActiveServerPages)を使っつかっ動的どうてきなページを生成せいせいする仕組みしくみ作りつくりはじめました」。ASPは初めてはじめてだった。恐る恐るおそるおそるプログラムを組んくん動かしうごかしてみると、自分じぶん思い描いおもいえがいたように画面がめん出来上がっできあがっていく。冨田とみたさんにとって、初めてはじめて本格ほんかくてきなプログラミング経験けいけんだった。

 そこから冨田とみたさんがどっぷり技術ぎじゅつのめり込んのめりこんでいくのに時間じかんはかからなかった。「いま思えおもえばAjaxてき工夫くふうもしていました。使いつかいやすいように最初さいしょにデータを大量たいりょう読み込んよみこんで、JavaScriptで表示ひょうじ表示ひょうじをコントロールしていったり、といったこともしていましたね」

 ただ技術ぎじゅつ知れしれ知るしるほど、まだまだ勉強べんきょうすることがやまとあることを思い知るおもいしる。ASPはIISで動かせるうごかせるが、時代じだいはApacheに追い風おいかぜだったし、ほかのプログラミング言語ごんご覚えおぼえてみたかった。そのときちょっと触っさわってみたPHPの魅力ミリョクにとりつかれた。もっと知りしりたい……思いおもい募らつのらせた冨田とみたさんは転職てんしょく考えかんがえ始めるはじめる。しかし北海道ほっかいどうでエンジニアの求人きゅうじん少なかっすくなかった。「よし、東京とうきょう行こいこう」。一念いちねん発起ほっきし、東京とうきょう旅立つたびだつ。23さいのときだった。

●もっとすごいことがしたくて、さらに転職てんしょく

 当てあてがなかったわけではなかった。北海道ほっかいどうお世話おせわになったひと東京とうきょうにいる。そのひと訪ねたずねた。「ちょうどいい仕事しごとがあるよ。履歴りれきしょ管理かんりをしたくてね。そのシステムを作っつくってくれないか」。仕事しごと思いおもいのほかすぐ見つかっみつかった。東京とうきょうでエンジニアとして仕事しごとができる……ホッとひと安心ひとあんしんしたものの、にちがたつにつれなんかが違うちがう思いおもい始めるはじめる求めもとめられる技術ぎじゅつのレベルが、自分じぶん目指すめざすレベルには及ばおよばなかったからだ。

 「ここでも、まわりで自分じぶん一番いちばん詳しくくわしくなっていた。もっと学びまなびたい。すごいことをしたい」。北海道ほっかいどう会社がいしゃ辞めやめたときと同じおなじ思いおもいがよぎり、冨田とみたさんは仕事しごと辞めるやめる。このころの冨田とみたさんはPHPでプログラムを組んくんでいた。勉強べんきょう重ねるかさねるうち、自分じぶんでもライブラリを作るつくるぐらいには詳しくくわしくなっていた。ただPHPのライブラリがあるPEAR(PHPExtensionandApplicationRepository)は、あまり盛り上がっもりあがっていないように感じかんじていた。なんとなくPerlのかた盛り上がっもりあがっているのではないか──Perlで作成さくせいされたソフトウェアのアーカイブ、CPAN(ComprehensivePerlArchiveNetwork)などをのぞいてはそう感じかんじていた。漠然とばくぜんとPerlがやりたいと考えかんがえているようになった。

 「Perlコミュニティには、なにかあこがれがありました。(Plaggerの開発かいはつものである)miyagawaさんもいましたし……」。Perlを勉強べんきょうしはじめてから、よくライブラリを使っつかっていたが、「こういうライブラリが欲しいほしいかな」と思っおもっ探しさがしてみるとmiyagawaさんが作っつくったものばかりだった。「このひとぼくせん行っおこなっている」。痛烈つうれつにそう思っおもった。かれのコードをてさらにその思いおもい強くつよく抱くだく。「もう、なんというか、技術ぎじゅつではなくて、設計せっけい美しうつくしさというか……センスですね。とにかくどう追いついおいついていいか分からわからないぐらいです」

 仕事しごと辞めやめ冨田とみたさんは、ライブドアやはてなといった、Perlのすごいエンジニアがいる企業きぎょう転職てんしょくしようかとも考えかんがえた。「ただ、まだ自分じぶん実力じつりょくでは迷惑めいわくをかけてしまう。そう思い直しおもいなおしました。いままでPHPをずっとやっていたし、なによりLinux自体じたいをよく分かっわかっていませんでしたから……」

 結局けっきょく行きついいきついたのは、知り合いしりあい参謀さんぼうやく務めるつとめるWeb制作せいさく会社がいしゃ自分じぶんより優れスグレたエンジニアも周りまわりにたくさんいた。ここでなら思いっきりおもいっきり勉強べんきょうができる。冨田とみたさんはそう思っおもった。現在げんざい勤めつとめているその企業きぎょう冨田とみたさんはいま携帯けいたい向けむけサービスの研究けんきゅう開発かいはつ手がけてがけている。「携帯けいたい興味深いきょうみぶかいですね。PCとはユーザーが違いちがいますし。同じおなじ日本人にほんじんなのにこうも知らしらない世界せかいがあるのか、と新鮮しんせんです。『これゎ無料むりょうですか?』ってメールがたり、毎日まいにち驚きおどろき連続れんぞくですね」

●ひらめいた5時間じかんのち、「ルー変換へんかん完成かんせい

 「あるルー大柴ルーオオシバさんのマネージャからメールがたんです。『ルー大柴ルーオオシバともども助かったすかっております』というメッセージでした」。突然とつぜんのメールに冨田とみたさんは驚くおどろく指定していしたURLのサイトや、張りつけハリツケたテキストをルー大柴ルーオオシバふう言葉ことば変換へんかんしてくれる『ルー変換へんかん』を作っつくってから数カ月スウカゲツたったころだった。「あ、本人ほんにんもネガティブにとっていないな。よかった」。冨田とみたさんはホッとむねをなでおろした。

 「ルー変換へんかん」を作っつくったきっかけは2006ねんすえ読んよん英語えいごもと。なんとなくページをめくるうち、「ルー大柴ルーオオシバっぽいテキストをつくれるサービスを作っつくったら面白いおもしろいかも……」と思いついおもいついた。冨田とみたさんはさっとつむりじゅう設計せっけいしてみた。形態素けいたいそ解析かいせきにはMeCabがあるし、辞書じしょはWebじょう無料むりょう公開こうかいされているオープンソースのものがあるから──あまり難しくむずかしくなさそうだ。早速さっそくPCを引っ張りヒッパリだしてコードを書きかき始めるはじめる。すると5時間じかんのちには完成かんせいしていた。コードのながさはHTMLを含めふくめて、A4のかみ1まい収まるおさまる程度ていどのものだった。

 「こんなもの作りつくりましたー」とPerlの開発かいはつものコミュニティに投げなげてみた。「おもしろい!」「こういう技術ぎじゅつ組み合わせくみあわせか!」。さまざまな反応はんのう返っかえってくる。ソーシャルブックマークでも評判ひょうばん集めあつめた。ただ、そのあとのアクセスはゆるやかに下降かこうせんをたどり、盛り上がりもりあがり落ち着いおちついたかに見えまみえた。しかしそのころから、今度こんどはテレビでルー大柴ルーオオシバさんがブレークしはじめる。

 「作っつくって2カ月カゲツぐらいたったころからアクセスがきゅう伸びのび始めはじめました。ルー大柴ルーオオシバさんの人気ひとけ後押しあとおしするなりで、ほかのサイトやメディアでも取り上げとりあげられ始めはじめました。テレビに取材しゅざいされたり、もとにしましょう、というはなしてきました」。「こんなことになるとは正直しょうじき思わおもわなかった」と冨田とみたさんは当時とうじ振り返るふりかえる

 多くおおくひと使わつかわれるのがうれしくてどんどん機能きのう追加ついかした。メールからも変換へんかんできるようにしたし、ルー占いうらない作っつくってみた。機能きのう追加ついかするたびに、みんなが楽しんたのしん取り上げとりあげてくれる。ユーザーからの反応はんのう素直すなおにうれしかった。

 「ルー変換へんかん」には今後こんごどんな機能きのう追加ついかしていく予定よていなのだろうか。冨田とみたさんに聞いきいてみた。

 「このサービスを作っつくってから『この単語たんごはこういうかぜ変換へんかんしてほしい』という要望ようぼうがたくさん来るくるようになりました。そうした変換へんかんパターンを登録とうろくできるようにしてもいいかな、と思っおもっております。ルー大柴ルーオオシバさん本人ほんにんがルー作らつくらなくても、どんどんネットじょう増えふえていく現象げんしょうもシュールかな、と(えみ)」

 この「ルー変換へんかん」については「開発かいはつにもそれほど苦労くろうせず、楽しいたのしい思い出おもいでばかり」という冨田とみたさんだが、「1つだけ困っこまったことになっている」と告白こくはくする。「このサービスが出るでるぜんは『ルー』はルーマニア略称りゃくしょうでした。ただ、いまは『ルー』で検索けんさくしてもなかなかルーマニア情報じょうほうまでたどりつけません。それに関してにかんして申し訳もうしわけないな、と思っおもっています。『ルー-おおしば』と検索けんさくしてくれれば大丈夫だいじょうぶかとは思いおもいますが……」。

 5時間じかん作っつくったこのサービスがきっかけとなり、冨田とみたさんはルー大柴ルーオオシバさん本人ほんにんにも会うあうことができた。「印象いんしょうですか? 出版しゅっぱん打ち合わせうちあわせをしていたのですが、まじめなかお普通ふつうに『ルー』を使っつかってくるのでびっくりしました。笑っわらっていいかどうか分からわからなくて……(えみ)」

●2008ねん話題わだい作りつくりがしたい

 「PCばかりていると行き詰まりいきづまりますよね……」と漏らすもらす冨田とみたさん。常につねに持ち歩いもちあるいているのは、デッサンなどに使うつかう大きなおおきな無地むじのノート。無地むじにはこだわりがある。「せん引いひいてあると、発想はっそうがそのラインに制約せいやくされてしまうから」。設計せっけい一度いちど白いしろいかみじょう描きえがき、それからコードを打ちぶち始めるはじめることもあるという。ほかにはあまりモノを持たもたない。ただ携帯けいたいは2だい使っつかっている。なかでもソフトバンクモバイルの「X01HT」では、WindowsMobileじょう動作どうさするSSH/Telnetクライアントプログラム「Putty」を便利べんり使っつかっている。「自分じぶんのサービスに障害しょうがい起きおきたときに便利べんりですから」。冨田とみたさんはそう教えおしえてくれた。

 あいはレノボの「ThinkPadX60」。よく使っつかっているのはコマンドランチャーの「Launchy」とメッセンジャーをブラウザで統合とうごうできる「Meebo.com」、それからチャットシステムのIRCようには「Limechat」。IRCでよくいるチャネルは「#coderepos」だという。

 PC以外いがいではテレビをよく見るみるし、ゲームでもよく遊ぶあそぶ。「ゲームにはヒントが多いおおい」と冨田とみたさんは語るかたる。「ニンテンドーDS」をしているときに「こういうネットサービスを作っつくったらいいんじゃないか?」と、アイディアがよく浮かんうかんでくるという。「2007ねんは『ルー変換へんかん』でしたが、2008ねんなんかのサービスで話題わだい作りつくりをしていきたいと思いおもいます」。冨田とみたさんは笑いわらいながらそう教えおしえてくれた。

関連かんれんキーワード】ルー大柴ルーオオシバ|Perl|PHP|ASP|レノボ
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