【マイアミ(米フロリダ州)和田浩明】29日投開票されたフロリダ州の共和党大統領予備選でジョン・マケイン上院議員(71)が勝利したのは、安全保障だけでなく、景気後退感が強まる中「経済にも目配りできる候補」とのイメージを売り込んだ成果だと言える。指名レースは、本命候補に躍り出たマケイン氏をミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(60)が追う形で、2月5日のスーパーチューズデー(21州で実施)に突入する。
一方、57人と序盤州で最大の代議員数を擁するフロリダでの勝利を起爆剤に、一気に先頭集団入りを狙ったルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長(63)の戦略は完全な失敗に終わった。選挙戦継続の意向を示したものの、立て直しは厳しい情勢だ。
「私はこの国を安全にするために立候補した」。マケイン氏はフロリダ州各地の遊説で「戦時の大統領」としての指導力を強調。減税の恒久化など経済政策を説明する際にも「エコノミック・セキュリティー(経済安保)」という表現を使うなど、得意の安全保障分野での実績とからめてアピール。同州で人気の高いクリスト知事(共和党)の支持を取り付けたことも選挙戦終盤で効果を上げた。
マケイン氏はこれまで無党派層の支持に頼る側面もあった。しかし、共和党員以外は投票に参加できないフロリダを制したことで、党内基盤を広げたことも印象付けた。
今回の3勝目で、マケイン氏は「トップ集団から抜け出しつつあるという印象を与えた」とスティーブン・クレイグ米フロリダ大政治学部教授は指摘する。「エレクタビリティー(大統領への当選可能性)」を高め、スーパーチューズデーでも追い風になる。
一方、豊富な資金力と充実した組織力を持ちながら次点に甘んじたロムニー氏は、スーパーチューズデーでカリフォルニアやニューヨークなど人口の多い州で勝つ必要があるが、現時点での世論調査ではマケイン氏がリードしている。
接戦を演じたトップ2候補と全く対照的だったのがジュリアーニ氏の選挙戦だ。アイオワ、ニューハンプシャーという大統領候補指名争いの序盤州を事実上捨てて、全米4位の人口を誇るフロリダに資源・活動を集中する賭けに出た。
しかし「01年米同時多発テロを乗り切った英雄市長」という全国的知名度を生かしきれず、CNNの出口調査によると、テロ対策を重視する有権者の支持でも、ロムニー氏に次ぐ2位に甘んじた。