【沖縄】重度肢体まひの障害を乗り越え、絵を描き続けてきた画家の仲宗根正満さん(51)=沖縄市=が詩画集「長い道」(文芸社)を出版した。老木などの自然を題材にしたアクリル画、コンピューターグラフィックス(CG)の抽象画などに詩を織り交ぜ、80ページに収めている。父正和さん(71)=前沖縄市長=ら家族の「正満の努力の成果を世に残したい」との支えもあり、1980年代から書き続けた作品をまとめた。全国の書店やインターネットで販売している。
正満さんが最も気に入っている詩「キャンバス」を巻頭に掲載。「ぼくの前には/白く大きな/キャンバスがある/そのキャンバスの前に/道が見える(中略)長い道/これがぼくの人生なのかも/知れない」とつづり、「長い道」を詩画集の題にした。
仲宗根さんは生後9カ月で、はしかによる高熱で脳性まひを発症。体の自由が利かず、自由に動かせるのは右手首から先だけになった。鏡が丘養護学校で教師の指導を受け、絵と詩の創作を始めた。
自宅の机にキャンバスを置き、平板に腕を乗せて寝そべったような状態で少しずつ描く。手が届かない範囲を描く際はキャンバスを移動させ、天井に取り付けた大きな鏡で全体像を確認する。一枚の絵を仕上げるのに3年かかることも。
80年代から8回の個展を開き、2001年に第2回クーピーファッションアート展大賞と第31回沖縄コロニー大賞を受賞。沖展では6度入賞した。
詩画集に収めた絵はアコウやユウナの老木、鳥などの生き物、沖縄の風景、心の内面を描いたものなどさまざま。二本の老木が絡み合うアクリル画「妖怪達の住む老木」は、うるま市石川伊波にあるガジュマルを描いた。正和さんと7回も見に行き、作品に仕上げた。
正和さんは「悪戦苦闘して描いてきた疲れなのか、2年前から体に無理が利かなくなった。正満が描いた作品を詩画集で形に残したかった」と話す。母貞子さん(86)は「道具を片付けようとすると嫌がる。『元気が戻ったらまた描く』と言うので、そのままにしている」と、正満さんを見つめて話した。
詩22編、絵34点を収録。価格は1890円(税込み)。序文では、93年に琉球新報が仲宗根さんを取り上げた連載「敗れざる人」も紹介している。(宮城隆尋)