記者らによるインサイダー取引疑惑で揺れるNHKで、30日付で副会長に就任した「おはよう日本」初代メーンキャスターで元解説委員長の今井義典氏(63)。報道畑ひとすじでキャスター経験もある“生え抜き”をナンバー2に選んだ福地茂雄会長(73)の狙いは何か。
今井氏は慶応大経済学部卒業後、1968年入局。アメリカ総局、報道局経済部、ヨーロッパ総局長、国際放送局長などを経て、2003年6月には解説委員長に就任。翌年12月に定年退職し、OBとして「部外解説委員」を務めていた。
視聴者にとっては、朝の「NHKニュースワイド」のキャスターや、「おはよう日本」の初代メーンキャスターとしてなじみの顔でもある。
福地新会長は、任命理由について「幅広いキャリアがあり、職員の信頼も厚い」と説明。民間のアサヒビール出身の福地氏とのバランスも考えての人事だが、理由はそれだけではないようだ。
元NHK政治記者で評論家の川崎泰資氏は、報道の中でも国際、経済畑を歩んできた今井氏の経歴に注目。抜擢の裏に、「“海老沢体制”と手を切ろうという狙いがある」と読む。
政治部出身の海老沢勝二元会長が政界に強いパイプを持っていたことは有名だ。海老沢氏が一連の不祥事で引責辞任した後も影響力は局内に根強く残るといわれる。そんななか、「政治部出身者をさしおいて、今井氏を会長に次ぐポストに置いたのは画期的」と川崎氏。
先代の永井多恵子前副会長のときも、女性で、しかもアナウンサー出身者を抜擢する異例人事だったが、川崎氏は「視聴者からの反発を避けるために、女性が選ばれただけだった。今井氏の就任を機に、NHKを育てるのは視聴者ということに職員が目覚めてほしい」と期待する。
「NHKは再び未曽有の危機に立っている。この状況を若い職員と共有し、未来の発展に向けて立て直しをしたい」と抱負を述べた今井氏。荒波の中の船出だ。