マンションの部屋を売った後に改正された法律を根拠に、税務署が所得から売却損を控除しなかった処分の是非が争われた訴訟の判決で、福岡地裁の岸和田羊一裁判長は29日、「税務署の措置は租税法の不遡及(そきゅう)の原則に反し、違憲無効」として、税務署の処分を取り消した。
原告は福岡市の女性。国を相手に福岡税務署の処分取り消しを求めた。
所得税法関連の改正租税特措法は2004年3月末に成立し、土地建物の売却損を所得の控除対象としないのは同年1月1日以降の売買とした。
岸和田裁判長は、憲法が規定する租税法律主義は国民に不利益を及ぼす税の遡及適用を禁じていると指摘。事前に周知され、国民生活の安定性を害さない場合、例外的に許されるとした。
その上で、女性のケースについて判断。改正特措法が周知されたといえず、女性は税務署で手続きした際に特措法の内容を知ったと指摘し、適用は不遡及の原則に違反し、違憲無効と断じた。