◇市の責任も指摘
いわき市の「市南部清掃センター」建設工事を巡る住民訴訟は28日、福島地裁(森高重久裁判長)が三菱重工に対し約11億円の損害賠償を市へ支払うように命じたことで、住民側の訴えが認められた。判決は業界の体質を厳しく問い、賠償請求を起こさない同市の責任も指摘した。原告の1人、同市平下荒川、滝澤隆さん(77)は「大企業が価格操作するのは犯罪行為。自治体も税金をしっかり使ってほしい」と訴えた。
森高裁判長は判決で、三菱重工を含む大手5社による談合の会合が、94年4月〜98年9月に行われたと認定。関係者のメモなどから、97年8月発注の同センター工事でも「大手5社の受注調整により被告が契約を締結した」と指摘した。
住民側は99年に提訴し、当初は落札時の市長らも相手取っていた。その後「立証が難しい」とし、同社に絞り争ってきた。滝澤さんは「いかなる企業も、談合しないというコンプライアンス(法令順守)を徹底してほしい」と話した。
一方判決は、いわき市が損害賠償を請求してこなかったことについて、「違法に権利行使を怠っている」と指摘した。市は99年12月、「独占禁止法違反が確定した場合は市の被った損害を賠償する」との協定を三菱重工と結んでおり、「司法判断の確定を待って適正に対応する」(市環境整備課)と話した。
公取委は全国のごみ焼却施設工事で5社の談合を認定、昨年3月には総額約270億円の課徴金を5社に命じた。5社は異議を申し立て、公取委の審判で係争中。全国同様の訴訟では、住民勝訴が相次いでいる。【松本惇】
1月29日朝刊