◇手をつなぎ、心一つに
「バッティングなんて呼べるものじゃない」。12回目のセンバツ出場を決めた横浜だが、小倉清一郎部長(63)の口調は厳しい。昨秋以降のチーム打率は3割3分6厘。でも、「甲子園に行った歴代チームで最も低い」。
打てる選手とそれ以外の差が大きい。全国制覇には「脇役も自分なりの能力を発揮する」ことが欠かせないと渡辺元智監督(63)は言う。
9番を打つ中原北斗君(1年)はグラウンドで、バッティングマシンの球の出所を見つめ、バットを横にした。三塁線ぎりぎりに転がすセーフティーバントをイメージし、球をはじいた。
次の打順は、好調の1番・松本幸一郎君(2年)。「とにかく次へつなげ』と監督に言われている」。足の速さには自信がある。「1番を打ちたい」という目標を胸に秘め、バント練習を繰り返す。
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試合前のグラウンド。ベンチ入り全員で円陣を組み、手をつないで目を閉じる。きっかけは岩下博行さん(38)の助言だった。
岩下さんは横浜高の近くで接骨院を営むかたわら、野球部の専属トレーナーを10年近く務める。昨年9月の秋季県大会4回戦。桐光学園との試合前、選手の手に触れると緊張で冷たくなっていた。手を握ることは緊張をほぐす効果がある。主将の小川健太君(2年)に「みんなで手をつないだら」と勧めた。
小川君が「隣の手を温めるように」と思うと、不思議と緊張はほぐれた。以来、試合前には欠かさない。岩下さんが歴代のチームに勧めても、続いたのは初めてだった。
「横浜らしくない」「公立高校みたい」と伝統校のファンの目に映ることもある。でも、小川君にためらいはない。「格好じゃない。小田のこともあったから」。捕手の小田太平君(1年)が昨夏、東海大相模戦で許した振り逃げを「みんなの責任」と言い切る。
手をつなぎ「『心を一つに。みんなで試合する』と思うんです」
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部員は2年生29人、1年生34人。今、チームに必要なものを、渡辺監督は「団結」と言う。ベンチ入りはわずか18人。ユニホームを着られない部員が「心から応援しよう」と思い、レギュラーが「あいつらのために勝とう」と思うことが、どうしても必要だ。
「負けなければ、強くなれない。失敗を乗り越えて、さらに上のチームワークができる」
3月22日のセンバツ開幕まで2カ月を切った。【杉埜水脈、写真も】
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「横浜編」おわり。「慶応編」は31日から掲載します。
1月29日朝刊