【シンガポール=藤本欣也】インドネシア保健省は28日、ジャカルタ東部に住む23歳の女性と、南部に住む9歳の少年が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染し死亡したと発表した。この結果、同国での鳥インフルエンザによる死者は100人に達した。世界保健機関(WHO)によると、2003年からこれまでに世界で220人以上の死者が確認されており、同国だけでその半分近くを占めることになる。
インドネシアでは05年に初の鳥インフルエンザによる死者が出た後、感染拡大に歯止めがかかっておらず、WHOでは、ウイルスが変異して人に感染しやすくなる「新型インフルエンザ」発生への警戒も強めている。
インドネシア政府は05年7月にジャカルタ近郊で初の死者が出て以降、感染した鶏の処分を徹底するよう農家に呼び掛けてきたが、補償額が十分でなかったことなどから感染が拡大。農家の関係者だけでなく、一般市民にまで被害が広がり、世界最悪のペースで犠牲者が増え続けている。
東南アジア地域ではベトナムでも、鳥インフルエンザの発生が数多く報告されており、今月23日、ベトナム政府は48人目の死者が出たと発表している。
鳥インフルエンザが「家禽(かきん)類から人」ではなく、「人から人」に感染し死亡した例はインドネシアなどで数例報告されているが、中国でも今月10日、類似のケースが確認されて衝撃が走った。「鳥インフルエンザウイルスの変異で、世界中に大量の死者が出る新型インフルエンザがいつ発生してもおかしくない」(WHO)との懸念が高まっているためだ。
中国のケースでは結局、「ウイルスの変異は起きておらず、大規模な流行をもたらす感染ではない」(中国衛生省)とされたが、警戒を要する状況に変わりはない。
今年に入り、インドやバングラデシュでも家禽類への鳥インフルエンザの感染が拡大している。