【ワシントン=矢田俊彦、宮崎健雄】ブッシュ米大統領は28日夜(日本時間29日午前)、連邦議会の上下両院合同本会議で、2期8年の任期中の最後となる一般教書演説を行った。
米景気の悪化に懸念を示し、先週まとめた総額1500億ドル(約16兆円)の景気対策の早期可決を議会に促すとともに景気後退の阻止に強い決意を示した。外交面ではイラクへの米軍増派が治安の改善につながったことを強調した。核放棄プロセスが停滞する北朝鮮には言及しなかった。
大統領は米国の景気について、「米経済は不透明な時期を迎えており、先行きにも懸念がある」と厳しい認識を示した。そのうえで「力強い景気刺激策をまとめた。議会はできるだけ早く可決すべきだ」と述べ、1人当たり最大600ドル(約6万4200円)の所得税を小切手で還付する減税を柱とした景気対策の関連法案を早期に可決するよう議会側に求めた。
これとは別に、長期的な景気の下支えに向けて2001年と03年に実施した減税を恒久化する必要性を改めて訴えた。
また、12年までに財政赤字を解消する目標の達成に向け、無駄な歳出を一段と削減する必要性を訴えた。議員が選挙区などの求めに応じて利益誘導型の公共事業を予算に盛り込む「イヤマーク」と呼ばれる慣行を半減させるため、「イヤマーク」の総額を前年度に比べて半分以下にしなければ、歳出法案が議会を通過しても拒否権を発動する方針を表明した。その上で、「総額180億ドル以上にのぼる151の不要政策を削った予算を来週提案する」と述べた。
イラク情勢については、米軍の増派により、「(国際テロ組織)アル・カーイダはイラクから逃げ出している。1年前にはほとんどの人が想像しなかった成果を得た」と強調するとともに、今後数か月の間に駐留米軍の兵力を増派前の規模に戻す方針を改めて表明した。ただ、「敵は大打撃をうけたものの、まだ打ち倒されたわけではない」と述べ、それ以上の兵力削減には慎重な姿勢を示した。
ウラン濃縮活動を続けるイランに対しては、「米軍を脅かす者には立ち向かう」と厳しく臨む決意を示す一方で、「濃縮活動を停止すれば交渉は可能だ」と呼びかけた。
パレスチナ国家樹立を目指す中東和平交渉については、年内合意に向けて改めて決意を示した。