県は、岩国基地の滑走路沖合移設に伴う公有水面埋め立て事業の一部変更を防衛省が申請したことについて、内部協議による手続きを進めている。これに対し、共産党県委員会と同党県議団は28日、住民への縦覧や地元首長の意見照会などを行うように県に要請書を提出したが、県は「(内部協議で)しっかり審査する」と繰り返すだけで、話し合いは平行線をたどった。
防衛省中国四国防衛局などによると、同防衛局は8日付で「特に住宅の多い地域で騒音レベルが低下し、現況より騒音障害が緩和される」としていた騒音予測を「ごく一部の区域では現状より増加するものの、ほとんどの区域では現状より軽減される」と一部修正したほか、滑走路に平行する誘導路の新設など埋め立て事業の変更を県に申請。
埋め立て事業は1997年、滑走路を沖合に移転することで市街地の騒音を軽減したり、墜落の危険性を減少させることなどを目的に、国が県の承認を受けて着手。しかし、米軍再編で米空母艦載機59機を同基地に移転する計画が浮上したことから、国は変更申請の手続きを取った。
変更申請を受け、県は申請書の審査に入った。公有水面埋め立て法は、用途変更の場合、住民への縦覧や首長の意見照会などを県に義務付けているが、申請変更についてはこうした規定がないため「内部的な検討で対応し、1カ月以内で結論を出す」(二井関成知事)としている。
これに対し、共産党県委員会と同党県議団は28日、「騒音被害の軽減、安全性の向上のためとされた沖合移設事業の目的をも変質させる重大な変更」と指摘。その上で(1)住民の縦覧、首長の意見照会などの実施(2)住民説明会の開催‐などを求める要請書を二井知事あてに提出した。
県側は、県土木建築部の河野隆士審議監らが対応。県議団が「国土交通省は住民の縦覧などを行ってもいいとしている。県は説明責任を果たすべき」と迫ったが、河野審議監は「用途変更ではないので(縦覧などは)行わない」「申請書をしっかり審査する」と繰り返し、議論はかみ合わなかった。
=2008/01/29付西日本新聞朝刊=