常識ハズレの
中国ビジネス
指南(2)
−遠藤誠 今回は、ビジネスそのものからちょっと
離れて、
旬の
話題を
お伝えすることにしたい。
実はつい
先週の2
月21
日夜、
証券会社に
勤めているかつての
同級生A
氏から、
携帯に
電話が
入った。こんな
調子だった。
「もしもし、
遠藤か!おい、おまえの
言った
通りだよ!
中国の
銀行がサブプライムで
損失を
抱えているっていうニュースがクイックで
流れて、
日本の
株式市場も
真っ逆さまだ。もうダメだ、
暴落だぁー」
「おいおい、
落ち着けよ。そんなにひどいことになっているのか?でも
日本企業の
業績は
底堅いから、そのうち
戻るだろう?」
「ノンキなこと
言わないでくれよ!
俺の
大口客は
信用買いで
追証(おいしょう)が
発生するんだよ。
客からの
苦情の
電話が
止まらない!あー、もうダメだ、
世界恐慌だぁー」と
叫んで
電話を
切ってしまった(
注:
追証=追加保証金の
略。
信用取引で
損失が
発生して
証券会社に
追加で
入れる保証金のこと)。
◆Xデー
到来のうわさ
話は
昨07
年12
月の
初め頃にさかのぼる。
上海の
友人I
君と
電話で
話しているときに、こんな
話になった。「
遠藤さん、どうも
中国の
金融機関がサブプライムで
損害を
出しているらしいんですよ。それが
公表されるのは
来年のXデーだと、こちらではうわさになっています」「ほう、それはすごいね。それで、そのXデーとはいつだい?」「1
月18
日らしいですよ」
実はその
一週間後にかつての
同級生が
集まる忘年会があった。
私がその
場でA
氏に、その
話をしたのはいうまでもない。「
中国の
金融機関がサブプライムで
損害を
出していることが、
来年の1
月18
日に
公表されるらしいよ。
本当なら
中国株のXデーだね。
まぁ、
中国市場には
風説が
多いけどね」
A
氏が
年初めにその
話を
上司にしたところ、「そんなことあるわけないだろう」と
一笑に
付されたという。それが、
結局、たまたま3
日違いの21
日に
実現してしまい、
冒頭の
電話になったというわけだ。
さて、1月21日の株価下落の引き金となった出所の報道は、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストである。同紙は中国大手国有銀行の中国銀行が、米国のサブプライムローン関連の投資で、07年第4四半期に巨額の評価損を計上する見通しだと報じた。
それに対して中国政府や中国銀行は21日にはコメントを出さず、翌22日には上海証券取引所が中国銀行の国内投資向けA株の取引を終日停止してまった。そして中国銀行は22日に香港市場で、「上場規則で定められた開示情報はない」と発表する。中国銀行は翌23日、こうしたサブプライムローン関連の損失や赤字転落について、「報道はまったく根拠がない」と否定する公告を発表。上海株式市場では同日、中国銀行の取引が通常より1時間遅れて再開された。この日は寄り付きこそ売り込まれたが、終値は反発して終わっている。
◆株価指数を振り返れば
株価指数を整理してみよう。今年に入って、1月14日(月)に5770.529ポイントでピークをつけた上海A株指数は、その後下がりだし、18日(金)に5436.876ポイント、21日(月)は5157.445ポイント、22日(火)4785.738ポイント、23日(水)は否定報道で反発し、4936.000ポイントとなった。そして25日(金)には4997.674ポイントまで戻してきている。
つまり、「中国銀行が巨額損失」と報道のあった21日は、▲312.554ポイントと急落したが、すでにその前週は一週間かけて▲333.653ポイントと下げていたのである。このA株指数の動きを見る限りでは、すでに21日の香港報道はある程度予測されていた――というのは、うがった見方だろうか?いつか来る、いつか来ると怯えていた投資家のマインドを絶妙のタイミングで刺激した報道だった。
昨年上海でうわさになっていた「Xデー」とは、いったい何だったのだろうか?日本の公共放送だってインサイダー取引問題を起こすのだから、株式市場の歴史が浅い中国では何がおきても不思議はないかもしれない。しかし、そういうことがあり得るマーケットだという認識はもっておく必要はあるだろう。
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(了)