■DSとWiiが
普及する
中で「ゲーム
離れ」が
継続?
2007
年のゲーム
市場は
任天堂のWiiとDSの「ゲーム
人口拡大戦略」が
功を
奏した
結果、
世界各地域で
過去最高を
更新したとみられる。
米国や
英国では
過去最高を
更新した。
日本でも、ハードとソフトを
合計したゲーム
市場は2006
年を
上回ったもようだ。
【Wii&DS】 ただし、ソフト
市場は
前年比では
微減となったとみられる。こうした
状況は、
日本のゲーム
産業の
今後の
見通しについて
楽観的にはなりづらいもの
考えられる。すなわち、ゲーム
産業においては、ハードウェアの
利益率はメーカー、
流通ともに
低く、ソフトウェアの
高い収益性が
各関係者にとって
利益の
源泉だからだ。
さらに、DS
向けソフトは
従来の
据置型向けソフトよりも
安価であり、
原価が
高いことから
利益率も
低く、その
割合が
増加すれば、
産業全体の
利益率は
悪化するとみられるのだ。
日本での
販売本数上位のタイトルは「Wiiスポーツ」や「マリオパーティ」シリーズ
等の
任天堂のライトユーザー
向けタイトルが
上位にランクインしている。すなわち、ライトユーザー
向け市場は
拡大したが、ソフト
市場は
横ばいであることを
考慮すれば、ヘビーユーザー
向けソフト
市場は
縮小したと
推測される。
ヘビーユーザー
向けが
得意なサードパーティ(DSやPS3など
他社のハードに
対応するソフトを
作っているメーカー)にとっては、「ゲーム
離れ」は
継続した
結果ともいえよう。
一方で、
拡大した
欧米市場においては、
任天堂のソフト
以外は
欧米の
現地メーカーのタイトルが
目立つ結果となっている。
日本のサードパーティでは、コナミの
欧州での「ProEvolutionSoccer(ウイニングイレブン)」シリーズ
以外は
目立ったタイトルはなかったもようだ。すなわち、
市場が
拡大する
欧米においてもサードパーティは
市場拡大のメリットを
享受しきれていないようにみられる。
■日本と米国の差
日本において、ヘビーユーザー向けソフトが苦戦しているのは、PS3がPS2を後継するプラットフォームとして確立されていないことがその一因と言えるだろう。
PS2のヘビーユーザー向けタイトルの受け皿として、PS3が十分に機能していないと考えられる。この理由として、WiiとDSが普及していることが一つの原因とする考え方もあるが、米国の状況をみると、その考え方は当てはまらないだろう。
米国では、PS2のヘビーユーザー向けタイトルの受け皿として、PS3の立ち上がりは遅れているがXbox360が確固たるポジションを築きつつある。そのため、従来のゲームユーザーはXbox360向けソフトを軸に購入し続けていると推測される。そうした安定的基盤が維持されている中で、DSとWiiの普及が上乗せされ市場全体の拡大につながっている。例えば、Xbox360向け「Halo3」のような従来型のソフトが販売本数を確保し、Wii向け「WiiPlay(はじめてのWii)」も好調に推移しているのである。
一方で、日本ではDSがPS2を上回る累計販売台数になり、Wiiの販売も好調に推移している。ただし、これらのハードの購入者は従来のゲームユーザーとは異なっており、ライトユーザーの保有割合が多いことから、ハードとしてはPS2並みに普及したとしても、従来型のソフトでは、PS2向けと同水準の販売本数は確保しづらくなっている。
こうした状況は日本のゲーム市場において任天堂の「ゲーム人口拡大戦略」の結果、「質的変化」が生じていることが影響しているといえよう。日本のこうした状況は、PS2向けタイトルで販売本数を確保してきた、サードパーティにとっては、厳しい状況だったといえるだろう。
■「ファミリープロジェクト」とは?
こうした変化にサードパーティが対応するためには、DS、Wii向けにライトユーザーをターゲットとしたタイトルを開発し、マーケティング戦略も従来とは変える必要があるだろう。こうした点において、ファミリープロジェクトの商品CMのイメージキャラクターにタッキー&翼を採用した、バンダイナムコゲームスの戦略が注目される。
「ファミリープロジェクト」は、「ファミリースキー」、「ファミリージョッキー」、「プロ野球ファミリースタジアム」、「ファミリートレーナー」の4作品で、08年1月から08年春にかけて順次発売予定。これらは、かつてファミコンやスーパーファミコンで発売された作品がベースになっている。CM第1弾はWii向け「ファミリースキー」だが、幅広いファン層を持つタッキー&翼をイメージキャラクターに採用した点でライトユーザーへの訴求力は高い可能性があろう。
一方で、ヘビーユーザー向けタイトルの販売本数を確保するために、PS3のさらなる値下げやソフトラインアップの充実といった、他力本願のキッカケを待つだけではなく、これらのタイトルをPSP向けに発売する可能性もあろう。
PSPの累計販売台数は760万台程度ではあるが、ミリオンタイトルも登場している。さらに、これらのタイトルをPS2向けにも発売し続ける可能性もあろう。
例えば、バンダイナムコゲームスは、最初はPS3向けで発売されたが、その後、Xbox360向けにも発売した「ガンダム無双」をPS2向けに「ガンダム無双Special」として、2008年2月28日に発売予定と発表した。仮に、このタイトルでPS2向けでも十分な販売本数が確保できれば、他社においてもPS2向けにタイトルを増やすことが考えられ、PS2の商品寿命がヘビーユーザー層では長期化する可能性があろう。
■世界的に進む業界再編
こうした日本企業の「質的変化」に対応する時間は多くは残されていない可能性がある。それは、日本ではゲーム業界再編は一段落しつつあると考えられるが、欧米においては、業界再編は加速しつつある状況で、日本メーカーもこうした世界的な業界再編に巻き込まれる可能性が高いからだ。特に、業績が低迷し、株価が下落すれば、その可能性は高まる。
これまでは、パブリッシャーによる開発スタジオの囲い込みが世界のゲーム業界再編の大きな方向性であった。例えば、Activisionの「GuitarHero」シリーズの成功は2006年にRedOctaneを買収したことが一つの大きな要因だろう。
また、EAもゲーム開発企業であるBioWareとPandemicStudiosの両社の親会社であるVGHoldingsを未公開株投資会社であるElevationPartnersから買収することで合意したと発表した。
さらに、フランスのUBISoftは、日本のゲーム開発会社デジタルキッズを買収する予定。デジタルキッズは1996年創業で大阪と名古屋に拠点があり、開発者は20人程度。DS向け「Loveラブハムスター」等を開発、UBIは同社が開発した「HamsterzLife」を含む「Petz」シリーズ等の成功を踏まえ、買収に踏み切ったものと推測される。海外メーカーはマーケティング力を支えに、開発スタジオを買収することで、業績の拡大を図る戦略が加速している。
■そして日本のサードパーティ
また、2007年12月には、VivendiGamesとActivisionは合併を発表した。新会社はActivisionBlizzardとなる見込みで、現在の世界最大のゲームソフト企業であるElectronicArtsを抜き、売上高でトップとなる見通しだ。世界的なゲームソフト企業のM&Aは有力パブリッシャーが開発スタジオを囲い込む戦略だけではなく、有力パブリッシャー同士がさらに規模を追求して、そこにハリウッドも絡んだ再編となる見込みであり、従来の業界再編の局面が一歩進んだといえよう。
日本のサードパーティについては、その株主構成は安定株主の割合が多いことから、敵対的M&Aは成功しづらいと考えられる。しかし、日本のサードパーティが主戦場である国内において結果が出せず、株価が低迷し続けることがあるならば、こうした世界的な業界再編の波に飲み込まれる可能性もあろう。
(岡三証券シニアアナリスト森田正司)