◇奇跡の逆転サヨナラ 一気に勢いづく−−秋季中国大会初戦
下関商の新チームにとって初の大舞台は、広島市民球場などであった秋季中国地区大会だった。初戦の相手は広島1位の総合技術。4点差をひっくり返す逆転サヨナラ劇を演じ、チームは一気に勢いづいた。
総合技術戦は二回に2点を先制したもののすぐに追いつかれ、逆転を許した。その後も内大和投手の好投を前になかなか反撃のチャンスをつくれないまま、2対6で九回裏を迎えた。
「最後まであきらめない」。佐々木大輔監督が日ごろから選手に言い続けている言葉どおり、苦しい展開でもベンチのムードは変わらなかった。それでも、ファーストフライに倒れた西村卓郎選手の頭の中には「もう追いつけないかもしれない」という思いもよぎった。ところが「奇跡」が起きた。
2死一、二塁から、岡田亮太選手が四球を選んで塁を埋める。島田拓選手は左前に運び、藤田貴志選手は中越え三塁打で続いて同点。そして八回から継投していた浜崎知義投手が打席へ。相手投手を前に「わくわくしていた」。バットは外角低めの直球をとらえ、右前への見事なサヨナラ打になった。
◇ ◇
大逆転劇の陰には約3週間前、県大会決勝で優勝を意識しながら、1対2で華陵に敗れた悔しさがあった。
新チーム発足から県大会前までの戦績は19勝3敗3引き分け。夏の大会経験者が多く残り、比較的経験の少ない他チームを大差で負かす試合も少なくなかった。
選手たちの胸に「県大会で勝てるかもしれない」という期待が高まっていた。そんな中、華陵戦で敗れ、チームに変化が起きた。末次拓馬選手は「緊張感が出た。本当に必死で練習するようになった」と振り返る。
選手たちは県大会決勝で経験した大きな「1敗」を、それぞれの胸にしっかりと刻んでいた。これが中国大会初戦で奇跡の逆転サヨナラ勝ちを呼び込む原動力になり、29年ぶりの大会制覇への大きな一歩になった。
(選手はいずれも2年)
〔下関版〕
1月28日朝刊