川崎市の会社が「トヨタ自動車などの株式51%を取得した」とする虚偽の大量保有報告書を提出した問題で、金融庁の佐藤隆文長官は28日、証券取引所や上場企業などと連携し、再発防止を図る「検討チーム」を近く設置すると発表した。取引時間中に虚偽の報告が行われた場合、市場に重大な影響を及ぼす可能性があるためだ。株式の大量移動に関する公表の迅速さを維持しながら、虚偽記載をどう防ぐかが大きな課題になりそうだ。
今回の虚偽報告書は、先週末25日の取引終了後の午後4時10分ごろに提出され、取引が再開されないうちに金融庁が訂正命令を出したため市場への影響はなかったとみられる。ただ、虚偽報告が取引時間中に提出されれば株価が大きく変動する可能性もあり、佐藤長官は「(市場への影響を考えると)身の毛のよだつ思いがする」と述べ、早急に対策を練る考えを示した。
上場企業が有価証券報告書や大量保有報告書などを開示するホームページ「EDINET」(エディネット)に虚偽報告書がそのまま公表されたのは、内容を事前審査する仕組みになっていないためだ。
事前審査を導入すれば虚偽報告の公表は避けられるが、金融庁幹部は「村上ファンド問題では株式取得から公表まで時間がかかりすぎるのが問題になった。公表の迅速さを犠牲にできない」と指摘する。公表が遅れれば、多くの投資家が情報を得られないまま株価だけが大きく動くといった事態もあり得るからだ。
金融庁は虚偽と疑われる報告書が提出された場合、すぐに金融庁に情報提供するよう全国の財務局に要請、直ちに調査に入る体制を整備したが調査だけでは十分とはいえない。検討チームでは今後、取引時間中に虚偽報告が行われた場合、取引所が売買を停止する仕組み作りなどが課題になりそうだ。
また、今国会に提出予定の金融商品取引法改正案では、大量保有報告書の虚偽記載を新たに課徴金の対象に含めることが決まっているが、罰則強化など未然防止策も議論される見通しだ。【清水憲司】