◇仲が良く一体感も−−今年は勝てそうだ
昨秋の県大会3回戦の当日午前8時、上尾市民球場へ向かう送迎バスを運転していた守真基コーチ(28)は、ふと後部座席を振り返って驚いた。寝ている選手がいないのだ。数時間前に学校グラウンドでアップした後で、例年なら大半が熟睡している。半月前、選手自身がミーティングで「せっかく体を動かしたのに寝るとまた鈍くなる」と決めたことだった。守コーチは「今年のチームは勝てる」と確信したという。
関東大会で4強入りした原動力を、岡本幹成監督(46)、コーチ陣、選手とも「部員全員の仲が良く、一体感がすごい」と口をそろえる。それは選手が結束力の大切さを、昨夏の旧チームでの県大会初戦・杉戸戦で目の当たりにしていたからでもあった。
「旧チームは、個々の実力は今年以上だった」と岡本監督は振り返る。相手は格下と思われた。ところが、5点を先行されて焦りが出た。他の選手を信頼するより「オレが何とかする」という意識ばかりが出た。「振りをコンパクトにしてスライダーを狙え」との指示が徹底せず、大振りしたり直球に手を出して凡打を繰り返した。気がつけば1―5でまさかの敗戦。その日、学校グラウンドに戻った岡本監督は1、2年生を集めて諭した。「分かったか。チームで勝つってことは甘いもんじゃない。どんなに個々がいい選手でもチームとしてまとまらなければこうなるんだ」
翌日、岡本監督は選手全員に新チーム作りについて作文を書かせた。「選手全員が信じあえること。そのために主将の自分が一番自分に厳しく何事にも先頭に立って取り組む」(関口翔太選手)。ほかの選手もチームワークの大切さをつづっていた。
その体現者が篠崎祐己選手といえる。4番ながら公式戦の犠打飛はチーム一の10。昨秋の関東大会準々決勝・霞ケ浦(茨城)戦でも六回、1点先制後の無死一、二塁で送りバントを決め、6番で投手の大塚椋司選手の中前適時打を呼び込んだ。2点リードの八回無死一塁でも送りバント。5番・関口選手の中前適時打を生んだ。「好機を広げてくれたことに絶対に応えたかった」(関口選手)「篠崎君はじめみんなの助けを投球でもむだにしたくなかった」(大塚選手)。主軸のプライドを捨てた犠打はチームを奮い立たせ、4―0で快勝。篠崎選手は「打ちたかったけど、押せ押せムードを止めたくなかったのでつなぎ役に徹した」とフォア・ザ・チームを強調した。
岡本監督が理想とする一丸となって勝ちに行く野球は、熟しつつある。=つづく
1月28日朝刊