日中間の企業取引を隠れみのに中国に不正な送金を続けていたとみられる「地下銀行」のグループが、警視庁と宮城、神奈川、宮崎県警の合同捜査本部に銀行法違反容疑などで摘発されていたことが分かった。地下銀行と資金のやり取りをしていた日本企業は94社に上るという。合同捜査本部は地下銀行関係者ら15人を既に逮捕。28日、取引額が多い東京や大阪、福岡など7都府県の鉄くず輸出業者7社を銀行法違反容疑で捜索、日本側企業が果たした役割の解明を進めている。【曽田拓】
調べでは、この地下銀行グループは日本の金融機関に45口座を所有。不法滞在の中国人らから依頼を受け、5年間で24億円を不正送金していたという。
グループは日中間での鉄くずなどの商取引を悪用。日本から鉄くずを購入した中国側企業が代金の一部だけを日本企業に送金、地下銀行関係者が日本企業に不足分を渡していた。
一方、グループの現地組織は、中国側企業から代金の残金を受け取り、送金先に届ける資金をプールしていたとみられる。日本在住の中国人顧客が地下銀行に振り込んだ資金が、日本企業と中国企業の商取引を隠れみのに、現地組織を経由して不正に送金先に送られる仕組みだ。一連の取引で、日本側の組織は送金額の1%を手数料として受領していた。
合同捜査本部は既に、地下銀行関係者のうち千葉を拠点に活動していた中国人の男(35)=服役中=ら日本人や中国人の男女6人を銀行法違反容疑などで逮捕。神奈川を拠点としていたグループの9人も別の容疑で逮捕しているが、リーダー格の男(31)は逃亡しているという。
捜査の過程で、地下銀行から現金が送られた日本企業は94社に上ることが判明。振り込んだ中国人顧客は延べ約4180人とみられる。送金先が福建省に限定されていることなどから、合同捜査本部は中国の密航あっせん組織「蛇頭」の幹部が指揮しているとみて追及している。