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*【ろんこくようし】(にひくしーかん)「しけいをせんたくしないりゆう、ない」(さんけいしんぶん)*

【論告要旨】(2−C完)「死刑を選択しない理由、ない」(産経新聞

25日(金)19時9分



*
だい2 情状じょうじょう関係かんけい


 5 反省はんせい態度たいど皆無かいむ

 被告ひこくひと捜査そうさ公判こうはんを通じてをつうじてかく公訴こうそ事実じじつをさまざまななり否認ひにんし、不自然ふしぜんかつ不合理ふごうり弁解べんかい平然とへいぜんと重ねかさねている。
 被告ひこくひとには、彩香あやかちゃん殺害さつがいについての自責じせきねん反省はんせいごころはみじんもないことは、犯行はんこうのち冷静れいせい隠蔽いんぺい(いんぺい)工作こうさくからも明らかあきらかである。ついにはそれがおーすとらりあけんくん殺害さつがいという凶悪きょうあく犯罪はんざいにつながったことは、被告ひこくひと彩香あやかちゃん殺害さつがいについての反省はんせいごころ全くまったくないことの表れあらわれである。

 また、おーすとらりあけんくん殺害さつがいについても、被告ひこくひと自責じせきねん反省はんせいごころがみじんもみられないことは、彩香あやかちゃんの場合ばあい同様どうよう犯行はんこうのち冷静れいせい隠蔽いんぺい工作こうさく行っおこなっていることからもうかがい得るえる

 特にとくに一連いちれん隠蔽いんぺい工作こうさくじゅうでも、おーすとらりあけんくん遺族いぞく悔やみくやみ手紙てがみ渡しわたし電話でんわをかけるなどしているのは、被害ひがいもの遺族いぞく偽造ぎぞう工作こうさく利用りようしたものであり、遺族いぞく愚弄ぐろう(ぐろう)し、その心情しんじょう踏みにじるふみにじる態度たいどであって、極めてきわめて悪質あくしつである。

 おーすとらりあけんくん両親りょうしんは、公判こうはん始まるはじまる直前ちょくぜんになって弁護べんごひと介しかいし送らおくられてきた被告ひこくひと手紙てがみを、読むよむ価値かちがないものとしてふう開けひらけずにいたところ、公判こうはんになって、それらが「おーすとらりあけんくん葬儀そうぎ参加さんかしたかった」「自分じぶん死ねしねおーすとらりあけんくん家族かぞく怒りいかりをぶつける相手あいてがいなくなるから生きいき償わつぐなわなくてはならない」などと、遺族いぞく感情かんじょう逆なでさかなでするような言い訳いいわけめいた言葉ことば並べならべられている内容ないようであることを知りしり、「猿芝居さるしばい台本だいほん読まよませられている」とかえって被告ひこくひとに対するにたいする憤りいきどおり強めつよめた。

 なんよりも、被告ひこくひと記ししるしていた日記にっきなか平成へいせい19ねん10がつ21にちらんには、「おーすとらりあけんくんに対してにたいして後悔こうかいとか反省はんせいはしているけれども、悪いわるいことをした、罪悪ざいあくかんというものが彩香あやか比べくらべほとんどないのです。(おーすとらりあけんくんの)ご両親りょうしんにしても、何でなんでそんなに怒っいかっているのか分からわからない。まだ2にん子供こどもがいるじゃない」などと人間にんげんとして決してけっして許すゆるすことのできないしんない言葉ことば記さしるされていた。

 被告ひこくひと真摯しんし(しんし)な反省はんせいなさけがみじんもみられないことは明らかあきらかである。

 また、おーすとらりあけんくん殺害さつがいなどに関してにかんして当初とうしょ犯行はんこう全面ぜんめんてき否認ひにんし、その後そのごおーすとらりあけんくん死体したい遺棄いき認めしたためさいにも、その殺害さつがいについては否認ひにんして、交際こうさい相手あいて実父じっぷ知人ちじんつみをなすりつけようとした。公判こうはんでも少しすこしでも自己じこ有利ゆうりになるよう実にじつに見苦しいみぐるしい限りかぎり供述きょうじゅつをしている。

 また、公判こうはんぜん整理せいり手続てつづきなかにはおーすとらりあけんくん殺害さつがいについても否認ひにんしようとし、弁護べんごひとから「そんなことを言っいっていると極刑きょっけいになるぞ」とたしなめられて、この主張しゅちょう撤回てっかいしていた。

 要はようは自分じぶんけい軽くかるくするための功利こうりてき理由りゆうから、証拠しょうこじょう争うあらそう余地よちがなかった事実じじつについて認めしたためているにすぎないことがうかがわれる。

 しかも、被告ひこくひと取り調べとりしらべさいに「まつりたい。チョコケーキ食べたべたい」などと駄々だだをこねたり、留置とめおきないでは検事けんじのネクタイが変わらかわらないことに笑いわらいをこらえるのに必死ひっしだったなど、捜査そうさ段階だんかいから現時点げんじてんまでを通じつうじ真摯しんし反省はんせい態度たいど全くまったくられないというべきである。

 従っしたがって、一連いちれん犯行はんこうは、被告ひこくひと異常いじょうともいえるはん社会しゃかいてき人格じんかく性向せいこう深くふかく根ざしねざしており、今後こんごとも被告ひこくひと真摯しんし反省はんせい期待きたいすることはできないし、矯正きょうせい教育きょういくによってもこれを矯正きょうせいすることが可能かのうであるとは思わおもわれない。

 むしろ、被告ひこくひとが、再びふたたび弱者じゃくしゃ対象たいしょうとした八つやっつ当たりあたりてき凶悪きょうあく犯罪はんざい繰り返すくりかえす再犯さいはんのおそれは極めてきわめて大きいおおきいというべきである。

6 地域ちいき社会しゃかい与えあたえ影響えいきょう甚大じんだい

 被害ひがいもの2にん通学つうがくしていた小学校しょうがっこうは、事件じけん発生はっせい直前ちょくぜん全校ぜんこう児童じどうすうがわずか152にんで、そのじゅうの2にん相次いあいつい殺害さつがいされた犯行はんこう地域ちいき社会しゃかい与えあたえ恐怖きょうふかん不安ふあんかん極めてきわめて大きいおおきい

 地域ちいき住民じゅうみん多くおおく不安ふあん障害しょうがいなどのしんきず抱えかかえてカウンセリングを受けるうけるなどし、PTSDなどの症状しょうじょう呈していし専門せんもんによる治療ちりょう支援しえん必要ひつようとしているひとたちも少なくすくなくない。特にとくに被害ひがいもの年齢ねんれい近くちかく遊びあそび友達ともだちだった子供こどもたちの多くおおくは、事件じけんのちには1にん寝るねることや、トイレや風呂ふろ行くいくことすらもできなくなるなどしている。

 このように、この事件じけん地域ちいき住民じゅうみんしんにも深刻しんこくきず負わおわせているもので、これにより地域ちいき社会しゃかい受けうけ被害ひがい甚大じんだいであり、その社会しゃかいてき影響えいきょう極めてきわめて大きいおおきい
 その結果けっか子供こどもたちまでを含めふくめ近隣きんりん住民じゅうみんらの多くおおくが、被告ひこくひと極刑きょっけい望んのぞんでおり、複数ふくすう近隣きんりん住民じゅうみんがこうした意見いけん公判こうはん証言しょうげんするなどしている。

だい3 求刑きゅうけい

 いま事件じけんは「永山ながやま事件じけん」の昭和しょうわ58ねん7がつ8にち最高裁さいこうさい判決はんけつ参考さんこう考察こうさつしたとき、被告ひこくひと前科ぜんかがないことや、おーすとらりあけんくん殺害さつがい起訴きそ事実じじつ認めしたためていることなど、被告ひこくひとにとって有利ゆうり事情じじょう最大限さいだいげん考慮こうりょしても、なおその罪責ざいせき誠にまことに重大じゅうだいであって、極刑きょっけいやむを得ないやむをえない
 「こういち母子ぼし殺害さつがい事件じけん」の平成へいせい18ねん6がつ20にち最高裁さいこうさい判決はんけつは「被告ひこくひと罪責ざいせき誠にまことに重大じゅうだいであり、特にとくに酌量しゃくりょうすべき事情じじょうがない限りかぎり死刑しけい選択せんたくをするほかないものといわざるをない」とした。そのじょうで、殺害さつがいについて計画けいかくせいがない▼被告ひこくひと生育せいいく環境かんきょう不遇ふぐう前科ぜんか非行ひこうがない▼犯行はんこう当時とうじ18さいになって間もなくまもなく矯正きょうせい教育きょういくによる改善かいぜん可能かのうせい否定ひていされていないひくなどがいずれも死刑しけい回避かいひすべき決定けっていてき事情じじょうとはいえないとして、犯行はんこうつみたち動機どうき態様たいよう結果けっか重大じゅうだいせい遺族いぞく感情かんじょうなどを対比たいひ総合そうごうして判断はんだんするじょう考慮こうりょすべきいち事情じじょうにとどまると判示はんじしている。

 いたいけな幼児ようじ2にん殺害さつがいし、その貴いとうといいのち奪っウバッ犯行はんこうつみたち甚だはなはだ悪質あくしつで、その結果けっか極めてきわめて重大じゅうだいである。

 犯行はんこう動機どうきおよび経緯いきさつ特にとくに酌むくむべきてんはなく、殺害さつがい強固きょうこ犯意はんいしもに、何らなんら落ち度おちどのない幼いおさない被害ひがいものいのちを、しかも2にん幼いおさないいのち相次いあいつい奪っウバッ犯行はんこうは、冷酷れいこく残虐ざんぎゃくにして人間にんげんてき所業しょぎょうであるといわざるをない。

 さらに、被告ひこくひとは、卑劣ひれつ隠蔽いんぺい工作こうさく繰り返しくりかえし、いまだになんらの反省はんせいられないなど犯行はんこうのち情状じょうじょう良くよくない。

 やかららの被害ひがい感情かんじょうはしゅんれつ極めきわめ、これに対しにたいし真摯しんし慰謝いしゃ措置そち全くまったく講じこうじられていない。社会しゃかい大きなおおきな衝撃しょうげき与えあたえてん軽視けいしできない。

 以上いじょうてん総合そうごうすると、被告ひこくひと罪責ざいせき誠にまことに重大じゅうだいであって、特にとくに酌量しゃくりょうすべき事情じじょうがない限りかぎり死刑しけい選択せんたくをするほかない。死刑しけい回避かいひ相当そうとうとする事情じじょうがあるかについて検討けんとうするに、まず、彩香あやかちゃん殺害さつがいについては計画けいかくせい認めしたため難くがたくおーすとらりあけんくん殺害さつがいについても、必ずしもかならずしも明確めいかく殺害さつがい計画けいかくをもって周到しゅうとう準備じゅんびをしたじょうでの犯行はんこうとまではいうことができない。

 これらは当初とうしょから被害ひがいものらを殺害さつがいすることを綿密めんみつ計画けいかくしていた事件じけん対比たいひすれば、その非難ひなん程度ていどはあるとしても、彩香あやかちゃん殺害さつがいが、幼いおさないわが子わがこ日常にちじょうてき不満ふまんはけ口はけぐちとして虐待ぎゃくたいしていたじゅうで、彩香あやかちゃんに抱いだいていた苛立ちいらだち嫌悪けんおかん極限きょくげんまで募らつのらせ、いつ爆発ばくはつさせてもおかしくない状態じょうたいにあったところに、たまたまそれを本件ほんけん犯行はんこうとき爆発ばくはつさせたにすぎないもので、決してけっして偶発ぐうはつてき犯行はんこうではない。

 おーすとらりあけんくん殺害さつがいも、子供こども被害ひがいものとする犯罪はんざい引き起こそひきおこそうという身勝手みがって卑劣ひれつ目的もくてきのための犯罪はんざい計画けいかく延長えんちょうじょう引き起こさひきおこされたものであり、彩香あやかちゃん殺害さつがいについて自分じぶん向けむけられた嫌疑けんぎをそらすために新たあらた殺人さつじん犯すおかすという極めてきわめて悪質あくしつ犯行はんこうだ。

 これらを死刑しけい回避かいひ相当そうとうとするような被告ひこくひと特にとくに有利ゆうり酌むくむべき事情じじょう評価ひょうかすることは到底とうていできない。
 また、被告ひこくひとは、公判こうはん一応いちおう反省はんせいなさけくちにしてはいるものの、その言動げんどう態度たいど見るみる限りかぎりつみ深刻しんこくさと真剣しんけん向き合っむきあっ内省ないせい深めふかめているとは到底とうてい認めしたためられず、真摯しんし反省はんせい態度たいど全くまったくられないものである。
 被告ひこくひと生育せいいく環境かんきょうについても、実父じっぷ養育よういく態度たいどにやや暴力ぼうりょくてきおもてがあったことは否定ひていできないが、問題もんだいなく育っそだっ実弟じってい比べくらべ差別さべつてきおもてられるわけでなく、高等こうとう教育きょういく受けるうけることができており、特にとくに劣悪れつあくであったとは認めしたためられない。

 さらに、被告ひこくひとには前科ぜんか認めしたためられないが、ささいな怒りいかり衝動しょうどう任せまかせわが子わがこ殺害さつがいし、その犯行はんこう隠蔽いんぺいのために、いともたやすく近所きんじょ男児だんじ惨殺ざんさつして、その遺体いたい遺棄いきするなどの行動こうどう取っとっていることをみれば、そのはん社会しゃかいてき犯罪はんざいてき性向せいこう軽視けいしできない。

 以上いじょうによれば、被告ひこくひと有利ゆうり情状じょうじょうは、いまだ被告ひこくひとにつき死刑しけい選択せんたくしない理由りゆう当たるあたるとは認めるしたためることができないのであり、被告ひこくひとに対してにたいしては、極刑きょっけいをもって臨むのぞむ以外いがいにない。

 よって、相当そうとう法条ほうじょう適用てきようじょう被告ひこくひと死刑しけい処するしょする相当そうとう思量しりょうする。

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