【三重県】客の求めに応じて、うどん店内でピアノ演奏を披露する経営者が鈴鹿市にいる。半世紀近く趣味で練習を続けており、4月に還暦を迎えるのを機に、楽しく学べる個人授業も始める。
同市西条の丹羽富親さん(59)。店内に置いてあるグランドピアノに興味を示した客に「1曲どうですか」と持ち掛け、その場で演奏する。「『冬のソナタ』を弾いて」と頼まれたこともあるが、弾くのはショパン、モーツァルトなどクラシック曲だけだ。
丹羽さんがピアノ好きになったのは、小学校の入学式で聴いた演奏がきっかけ。「体に電流が走ったような衝撃だった」といい、足踏み式のオルガンで練習し、和歌山県海南市から鈴鹿市に引っ越した白子中学2年の時、念願のピアノを買ってもらった。
一時は音楽大への進学も目指したが「お金が続かなかった」ため、神戸高校卒業後は調理師の道に。市内の重電会社のクラブハウスや食堂で調理師として働いたが「仕事のストレスも忘れることができた」と、ピアノ演奏は続けた。
36歳で会社を辞め、翌年に市役所近くの貸店舗でうどん店を開業。13年前には文化会館近くに自前の店を構え、店内のテーブルといすを片付ければミニコンサートが開催できるようにした。現在も個人レッスンを受けるため大阪市に月2回通っており「仕事をしていてもピアノからは離れられない」という。
29日夜には、住宅街にあるうどん店に若手ピアニストを招いて演奏会を開く予定。問い合わせはいすず庵=電059(383)7345=へ。
(酒井直樹)