視覚障害者とドーセント(展示解説ボランティア)が一緒に美術鑑賞する「百聞は一見をしのぐ」が19日、県立博物館・美術館の美術館部門で初めて開かれ、視覚障害者13人と家族らが参加した。参加者は作品の色彩や描かれた背景などの説明に聞き入ったり、自分が感じた印象などをドーセントに話したりしながら会場を移動し、作品の味わいを楽しんだ。
参加者は、戦後美術や現代美術などの作品が展示された会場を3グループに分かれて鑑賞した。
喜久村宏氏の絵画作品「海中道路」の前に立った参加者に、ドーセントや介助者が「深い青色の海の真ん中を1本の道路が走っている。まるでチービシのようですよ」と説明した。参加者は「イメージが頭に浮かんだ」と話し、うれしそうな表情を見せた。
実際にイモなどの入ったバーキ(かご)を頭に載せて頭上運搬を体験する作品や西村貞雄氏の彫刻「僻日」に、実際に触れて鑑賞する参加者もおり、目に頼らずさまざまな感覚を用いて作品と向き合っていた。
鑑賞後、島袋安子さん(67)=那覇市=は「作品の説明を聞いて幼いころの情景を思い出し、胸が詰まった。目は見えないけれど、心の目で鑑賞できた」と目尻を下げた。県視覚障害者福祉協会の山田親幸会長(73)は「日本の著名な画家の作品もあった。独自の文化を持つ沖縄にひかれた人が多かったのだと感じた」と満足そうな表情を浮かべた。
前田比呂也学芸員は「今回のように特別な企画を続けるつもりはない。普段から視覚障害のある人もない人も一緒にドーセントツアーができるようにする」と語った。