見た目はフツーでもとことん非常識にボケをかます富澤たけし(33右)と、コワモテで切れまくる伊達みきお(33)の漫才コンビ「サンドウィッチマン」が今年一番の注目株だ。
若手漫才日本一を決める「M―1グランプリ2007」で昨年12月、敗者復活戦から史上初の大逆転優勝を果たした。
血液型をシンプルに聞けば早いのに「A=A型、B=O型、C=B型……」と紛らわしい質問にしたり、宅配ピザ配達アルバイトの富澤に翻弄(ほんろう)され切れまくる、客であるコワモテお兄さんの伊達。吉本興業などの大きな後ろ盾もなく、大阪でも東京でもない“お笑い不毛の地”東北・仙台市出身の2人が、やすきよ、ツービートら80年代の「MANZAI」ブーム以来の“しゃべくり漫才”で若手コンビの頂点にのし上がった。
いかついルックスで存在感たっぷりの伊達を生かしたお笑いのルーツは、彼らの地元・仙台にあった。2人はバンカラ色の濃い東北でもひときわ上下関係の厳しい仙台商高ラグビー部仲間の同級生。
高校時代、伊達のバイト先レストランに押しかけてきたある先輩は、おかわり自由のライスを閉店まで居座って30杯も頼み続け、店と後輩を震え上がらせた。また時には、ランニング途中に小さな水たまりを見つけ「2人メドレーで泳げ」と命じたことも。あり得ない突飛さ、なぜか笑えるしごき。厳しさの中に、どこか抜けていて親しみの持てるお笑いのエッセンスが凝縮されていたのかもしれない。
98年に上京後、最初に結成したトリオのひとりが抜け、99年にコンビで再スタート。極貧の下積み生活の苦労話に事欠かないが、ご飯とモヤシだけの弁当、カビの生えかけたペットボトルの“水筒”を抱え、バイト先に通った逸話には泣ける。
05年にM―1準決勝まで進むようになると、「エンタの神様」(日本テレビ系)や深夜ワクの「虎の門」(テレビ朝日系)などお笑いバラエティー番組への不定期出演も徐々に増えてきたが、バイトをやめて本業に専念した07年も、家賃6万8000円の共同生活さえ楽ではなかった。
伊達は仙台藩62万石の伊達家の血を引く銀行員の家庭に育ち、富澤も大手輸入食料品店幹部の御曹司だとか。社交的で草野球や飲み会にも積極的に出ていく伊達と、ネタを考えるため家にひきこもりがちの富澤では性格もまったく対照的。
そんなチグハグな2人が長年、ひとつ屋根の下で暮らし、夜を徹して傾けたネタづくりへの情熱とセンスがなければ、気持ちよくスッキリ笑えるホンモノのお笑い芸は生まれなかった。
テレビへの露出度が増すほど、人気に流されない地道な努力も必要。今それを最も強く自覚しているのは、彼ら自身と、それを早くから見いだし、支持してきたファンたちだろう。