[ワシントン 10日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は10日、住宅部門の低迷やクレジット市場の混乱を背景に米経済見通しは悪化しており、FRBは景気を支援するため積極的に行動する用意がある、との考えを示した。
議長は講演で「最近の見通しの変化や成長へのリスクを踏まえると、さらなる緩和が必要になる可能性がある」と指摘。「成長を支援し、下振れリスクに対する適切な保険を提供するため、必要に応じて相当の追加的措置を講じる用意がある」と述べた。
スタイフェル・ニコラウス・キャピタル・マーケッツの上場株式トレーディング部門マネジングディレクター、アンジェル・マータ氏は「インフレが先行きの懸念要因になり得る一方で、議長は、リセッション(景気後退)が迫っているとの懸念にも気を配る必要があることを認めたと思われる」と話した。
議長講演を受け、米国株式市場は一時上昇したものの押し戻され、バンク・オブ・アメリカ<BAC.N>がカントリーワイド・フィナンシャル<CFC.N>の買収に向け協議しているとの報道で再び値を戻した。
<経済成長に焦点>
バーナンキ議長は、政策担当者はインフレよりも経済成長の持続について懸念していると指摘。インフレ期待は「適度によく抑制されている」とし、今後も注視していく姿勢を示した。
議長は、原油高や株安、住宅価格の下落などの諸要因が今年の個人消費に悪影響を及ぼすだろうとし「2008年の実体経済活動の基調見通しは悪化し、成長に対する下振れリスクが一段と明確になったことが最新の情報からうかがえる」と述べた。
ただ、「現時点でFRBはリセッション入りするとはみていない。成長の鈍化を予想している」と語った。
<雇用統計のショック>
バーナンキ議長は、12月米雇用統計で非農業部門の雇用者数が1万8000人の伸びにとどまったことについて、経済リスクが高まっている明白な徴候だと指摘。「労働市場が悪化すれば消費支出に対するリスクも大きくなる」と語った。
また、引き続き不安定な金融市場が懸念材料だとし、銀行やその他の市場参加者が直面する損失の程度については依然不透明だと述べた。
ただ、銀行は良好な状態で現在の不安定な状況を迎えたとし、これを乗り切ることができるだろうとの見方を示した。
議長は「一部の大手金融機関による数十億ドル規模の評価損計上の影響にもかかわらず、銀行システムは引き続き良好だ」とする一方で「市場の混乱は深刻で、経済全般に引き続きリスクをもたらす」と述べた。