米国務次官補代理として大量破壊兵器拡散防止(PSI)構想に携わった英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリック上級研究員は4日、産経新聞に、米国家情報評価(NIE)がイラン核兵器計画は4年前に停止されたとしたことで、「軍事攻撃の脅しは使えなくなった。ブッシュ政権はウラン濃縮活動を停止させるため圧力強化を望むだろうが、追加制裁も難しくなった」と述べた。発言要旨は次の通り。(ロンドン 木村正人)
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通常NIEは機密扱いだが、今回、イランの核兵器計画の評価が大きく変わり政策決定への影響が避けられないため、広く知らせることが大切だとの情報機関の明確な意思決定に基づき公表された。リークではない。政治的意図もないと思う。
イラン軍事関係者が核兵器開発停止についての不満を誰かに漏らすのを米情報機関が傍受したもので、他の情報で補強されている。イランのニセ情報に踊らされている恐れはない。国際原子力機関(IAEA)はスパイも傍受も電子情報収集も行えず、確度ではNIEの方がはるかに高い。
イランが2003年に核兵器計画を中断したのは2つの圧力が原因。第1に、IAEAが対イラン非難決議案を採択、国連安全保障理事会も制裁を決議するよう欧州連合(EU)が圧力を強めていた。第2に、米国がフセイン政権打倒のためイラク戦争を始め、イランは次は自分の番かもしれないと恐れた点がある。
新情報でも出てこない限り、軍事攻撃の可能性はない。攻撃の脅しを外交のてこに使えなくなったブッシュ政権はイランを説得する別の選択肢を考えるべきだ。イランのウラン濃縮活動は継続しており、早ければ09年までに核兵器製造に必要な高濃縮ウランを調達できる状況に変わりはない。
NIEは圧力が効いたことを明らかに示しており、米政府は濃縮停止のため圧力強化を望むだろう。ロシアや中国はNIEを協調的な手法が有効だとの根拠とみなし、3度目の安保理制裁決議は困難になった。米国が独自制裁を続ける一方、限定的にせよイランがIAEAへの協力を拡大するのが次善の策だと多くの国が結論付けるだろう。