先の自民党総裁選で福田康夫首相に対抗した麻生太郎前幹事長、中川昭一元政調会長の動きが活発化している。中川氏は4日、派閥横断型の勉強会を発足。麻生氏は都内に副幹事長らを招集した。両氏は「福田政権を支える」と明言するが、背後に安倍晋三前首相の影がちらつき、3人の頭文字からとった「ANAライン」復活を想起させる。平沼赳夫元経産相(無所属)のHを加えて「HANA(花)の会」との呼び名も登場。政局の「台風の目」となる可能性もある。
中川氏「ANAに平沼氏を加えて『HANAの会』ってどうですかね」
麻生氏「おぉ! いい名じゃねえか…」
中川氏「AHANではいまいちですかね…」
麻生氏「アハ〜ン? 何だ、そりゃ(笑い)」
11月20日の衆院本会議で、中川氏は隣席の麻生氏に勉強会を旗揚げする考えを伝え、冗談交じりの会話をかわした。
中川、麻生両氏は安倍政権下で結束を強め、「ANAライン」と呼ばれてきたが、福田政権で無役となった。ねじれ国会の中で反主流色は打ち出しにくく、「発言力を確保するには勉強会しかない」というのが中川氏の出した結論だった。
4日昼、国会の憲政記念館で旗揚げした勉強会には衆参59議員が賛同し、30人が出席した。会長に就いた中川氏は「責任の重さを痛感している。自信と誇り、謙虚さを持って進んでいきたい」とあいさつし、安倍政権の「戦後レジームからの脱却」路線を継承する考えを表明。最高顧問となった平沼氏は「改革を唱えないと政治家ではないような風潮があるが、日本の文化や伝統を大切に守る姿勢が求められている」と述べた。
勉強会の名称は未定だが、中川氏の父、中川一郎元農相らが昭和48年に結成したタカ派勉強会「青嵐会」と重ねる見方も広がり他派閥の締め付けも厳しくなってきた。
町村派の中川秀直元幹事長は「政策の勉強は福田内閣を支えることが前提だ。そうでない動きをするなら派閥を出ていただくしかない」と明言。それでも町村派から萩生田光一副幹事長ら若手・中堅が勉強会に賛同したのは、安倍氏の強い意向を受けたからだ。
一方、麻生氏は4日夜、東京・神楽坂の料亭に副幹事長ら十数人を集めた。自らが幹事長当時に肝いりで集めたメンバーに対する「慰労」が目的だが、現執行部には「挑発行為」に見えなくもない。中川氏が所属する伊吹派を率いる伊吹文明幹事長は一連の動きに「党の結束を乱さないようにやってもらえるなら勉強は大いに結構」と無関心を装ったが、内心は穏やかではないようだ。
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【用語解説】青嵐会
田中角栄政権時の昭和48年7月、中川一郎元農相、渡辺美智雄元副総理、石原慎太郎都知事ら1〜4回生議員約30人が結成した派閥横断型の勉強会。ハト派の田中、大平両派が政権中枢を占める中、タカ派色を前面に出し、日中国交正常化反対などを唱えた。